ワンピース航海記録

こちらはワンピースを中心に物語の感想などを扱っているブログです。

「ONE PIECE novel 麦わらストーリーズ」感想 ワンピースのラノベ

 今週のジャンプはワンピースが休載でしたので、ジャンプは読んでいなかったのですが、本屋に行ったときに、立ち読み用のものがありました。

 時間もあったので、何か情報がないかと思い、ページを軽く読み流すと・・・

 「ONE PIECE novel 麦わらストーリーズ」好評発売中!

 

 ええ、本当にエネル顔するくらい驚きましたよ。発売したのは、11月2日で87巻と同じ日。まったく知らなかった自分に衝撃が走りましたよ・・・!

 ということで、さっそく買って読んでみました。今回は感想を書いていきます。

概要

 20周年記念の今年に発売された「ONE PIECE magazine」。その中にあった短編小説が書籍化されたものです。

 

 ルフィ達、麦わらの一味を一般人という視点から見たものであり、全部で9話です。

 「ONE PIECE magazine」に掲載された短編小説は、ルフィ、サンジ、ロビンに関する話なので、あとの6つは新たに追加されたものでしょう。

 

 小説は大崎知仁さんが担当。銀魂BLACK CATなどのジャンプ作品のノベライズを担当している人ですね。

あらすじと感想

 全部で9話。順番は例のごとく、一味に加わった順です。できるだけネタバレは控えますが、怪しいところもあると思いますので、ご容赦ください。

マリンフォードの“兄弟”(ルフィ)

 生真面目な兄これから始まる戦いに集中しようとする中、意気揚々と実力に自信を持つ弟。白ひげ海賊団と海兵大将、七武海の猛烈な攻防から開戦した頂上戦争。そんな戦いの中、上空から麦わら帽子をかぶった男が降ってきて・・・

 

 「ONE PIECE magazine」のVol.1に収録された、白ひげ海賊団VS海軍の頂上戦争に参加した2人の海兵の話。この2人はルフィ、エースと同様に兄弟であり、中佐海兵の兄目線で話が展開されます。

 

 見どころは彼らとルフィ、エース兄弟の対比です。どことなく似ている点があるこの兄弟。だからこそ浮き彫りになる違いと結末が印象的なものでした。個人的には、兄としての主人公に感情移入してしまい、グッとくるものもありましたね。

剣豪談義、丁々発止(ゾロ)

 天夜叉ドフラミンゴがルフィに打倒された後のドレスローザの酒場に、3人の海兵が訪れる。なかなか込み合っているので、3人はフードをかぶった男と相席となる。海兵たちはフードの男と共に、最強の剣豪について話しあうが・・・

 

 ドレスローザの戦いが終わった後の、酒場でのワンシーン。海兵3人組がフードの男(誰かはすぐわかる剣豪)と話しあいます。話しあいの内容やきっかけが、すごいものを見た後の学生のノリに感じました。

 

 けっこう様々なキャラの名前が出てきますが、シャンクスを剣豪とカウントしていいかは、個人的に疑問。そりゃ、剣使っているけどさ。

 正直、一番「ストーリー」としては微妙なレベル。ドラマ性はあまりなく、ファン同士の雑談という感じです。

会いに行ける航海士(一日限定)に会いに行ってきた!(ナミ)

 本屋くらいしか行かないような引きこもりの青年。そんな彼は美人海賊手配書を眺めるのが好きだが、特にお気に入りは麦わらの一味の航海士ナミ。ある日、麦わらの一味が新世界に入るため、仲間を集めると知り、一目でいいから見たいと思って・・・

 

 シャボンディ諸島に住む少年が主人公のこのストーリー。これまでの二つが海兵だったのとは打って変わり、本当にただの一般人です。引きこもりだけど。

 

 とりあえず読んで思ったのが、主人公がすごい設定だと思ったこと。文章の雰囲気もこれまでとだいぶ違います。正直、青年が若干うざく感じた・・・。

 ただ一人の青年が、きっかけから成長するのは素直に感心しました。チュウと戦ったウソップを思い出しましたね。

プロポーズ大作戦 in シロップ村

 ある日、シロップ村に訪れた1人の男。彼はカヤにプロポーズに来たのであった。この手の男達は今まで後を絶たなかったため、カヤの執事であるメリーはこれを断る。すると医学書のプレゼントを渡し、そのまま帰ります。これまでの男達は違う雰囲気に加え、なんと彼はシロップ村に住む決断までして・・・

 

 シロップ村にある目的でやって来た1人の男が主人公。懐かしのカヤ、メリーに加え、ピーマン、にんじん、たまねぎも登場します。

 

 内容は割と王道なもののつなぎ方が上手く、舞台がシロップ村というのも面白かったです。何といっても、麦わらの一味で最も嘘が面白い男の出身地であり、ここで戦った海賊は3年も嘘をつき通した男ですからね。

 個人的には、目的を知ったカヤの返しがまた良かったですね。彼女の経験とウソップへの信頼がよく現れています。

バラティエのお嬢さん(サンジ)

 忙しくてなかなか来れなかったバラティエに、久しぶりに足を運んだ女性。美味しい料理に舌鼓をうつも、共に来た相手は自分のことばかり話す男。しかたなく会食に付き合ったものの、すでに料理の方に意識を向けていた彼女は、ふと昔いた1人の料理人がいないことに気づき・・・

 

 「ONE PIECE magazine」のVol.2に収録された、バラティエに訪れた女性客の話。数少ない女性目線のストーリーです。ゼフ達ももちろん出ますよ。

 

 とにかくやりとりがいい感じに若い大人な雰囲気で、個人的にはまったり読むという意味でも、はまった話です。恋愛要素もあり、良くも悪くもサンジの紳士な部分に焦点が当てられていたと思います。

 サンジが女性に渡した“宝石”の話と最後の女性の考え方がドツボだった・・・!

“悪魔”に魅入られし者の苦悩(チョッパー)

 シャボンディ諸島の海軍基地にいる1人の海軍将校。彼には「波頭の仁王」という異名があり、実力、信頼共に絶大なものがあった。しかし彼には秘密があった。2年前、エニエス・ロビーにいた頃に出来たある秘密が・・・

 

 前半読んでいて、どのようにチョッパーと関わるかと思ったら、こう来たのか!と思わせるような内容でした。

 サンジとロビンの間の話なので、落差がなかなかすごいものとなっています。ストーリーとしても賛否分かれそうですが、とりあえず個人的にさし絵付きでこの主人公の様子を見てみたいものです。

 

 しかしカッコいい異名だな、この将校。なおさら挿絵ありきで、どんな姿か見てみたい!

バルティゴの少女(ロビン)

 革命軍に身を置く一人の少女。彼女は読書が好きで、目指すものは考古学者だ。ある日、本を読んでいると、顔なじみの少年が暇つぶしに話しに来た。毎度のことなようで、読書時間を邪魔されることにやれやれな様子であったが、彼が持ってきたあるニュースに彼女は驚く・・・

 

 「ONE PIECE magazine」のVol.3に収録された、バルティゴにいる考古学者を目指す少女とロビンの話。かなりがっつりロビンと関わりがあるのが特徴的です。

 少女とロビンの出会いから、考古学を学ぶことへの理由と想い、それをロビンが先輩として大人として多くのことを教える姿が、うまくかみ合ってしっとりとした内容となっています。

 

 ロビンのお姉さま感がもろに発揮されており、それに憧れる少女がまたいい味を出しています。

 特に最後、少女が少年に対して放った言葉は、彼女が大人として、女性として一歩大きく成長した気がします。これは将来、いい女になるぞー!

むくれ顔ブックストアガール(フランキー)

 本屋でレジを打つ女の子。客が買っていく雑誌「月刊・船大工」の売れ行きに感心します。また同じ雑誌を持ってきたのは、シフト駅の駅長ココロ。彼女の話では、今回雑誌の表紙に乗っている丸坊主のサングラス男——フランキーが原因とのこと。しかし引っ越して間もない彼女はフランキーを知らなくて・・・

 

 環境になじめない引っ越しあるあるを抱える女の子が主人公のストーリー。彼女がフランキーとその知人を通じて、ウォーターセブンに関わっていく話です。

 話の流れは面白いと思ったのですが、それ以上にフランキー関連の雑誌にツッコミを入れたくてしょうがない内容でした。船大工の件はまだしも、ロボットの雑誌なんてベガパンクの技術を世間に知らせているだけな気が・・・。まあ、技術も伴う必要があるから、大丈夫だと思いますが。

 

 でも全体を通して読むと、お前はどんだけインタビューやらなにやら受けているんだとツッコみたくなるほどです。ここが気になってしょうがなかったな・・・。

“ソウルキング”のメッセージ(ブルック)

 ソウルキングのワールドツアー最後となるシャボンディ諸島。たった1人で少年は、彼のライブに参加していた。そして最初の曲「骨 to be wild」のイントロが流れ出し、ブルックがステージに現れる。とてつもない興奮の中、少年は服の中に忍ばせた「音貝(トーンダイヤル)」のスイッチを・・・

 

 こちらも兄妹の物語。ただルフィの話とは違い、子供の話です。

 子供らしい精いっぱいなやり方と頑張りがわかるのですが、もう少し心理描写があっても良かった気がします。だからちょっとあっさりと自己完結したようにも読めてしまったのが、残念です。読む人が読めば違うんだろうけどさ・・・。

 

 個人的にブルックの「NEW WORLD」を聴きながら読むと、いい感じに感情が込められる気がします。そういう意味では、ブルックらしい内容かも。

まとめ

 全体的にサクッと読める短編ですが、なかなか内容が濃いものが多く、とても面白かったです。

 

 反面、各話のクオリティに差があるような気がしてしょうがありません。私としては「ONE PIECE magazine」に収録された話の三つがダントツで好きでした。追加で入れるとしたらウソップの話ですかね。

 内容とまとめ方、そして独特の雰囲気が好きであり、キャラも魅力的だと思います。

 もちろん、ここら辺は完全に好みの問題なので、ご自分で好きなものを見つけるべきでしょう。

 

 それにしても発売してここまで気がつかなかったのは、個人的に不覚でした。

 私自身、ライトノベルに疎いものなので、本屋行ってもそっち方面全く行かないんです・・・(←言い訳)

 しかし本屋行っても、そっちに置いていたので10分以上探し回ったわい・・・。

 

 何はともあれ、ファンなら読んで損はない面白さだと思います。

「『知識』や『言葉』も武器になるの。」

 ロビンの話で、少女に言っていたセリフです。言葉だけのワンピース・・・武器だけでなく面白さにもなって、悪くないね!