ワンピース航海記録

こちらはワンピースを中心に物語の感想などを扱っているブログです。

第1031話「科学の戦士」 両翼の信頼

 第1031話の感想です。

 今回はカラー扉絵。組織のナンバー2が揃い踏みです。ゾロはもちろんのこと、ワノ国編で大活躍のキング、キラー、マルコ、ルフィとの関わりが深いレイリー、ベックマン、カタクリ、サボと主役がいないのに魅力的な一枚絵です。ところでシリュウやベポはナンバー2でいいのか…?

第1030話「諸行無常の響きあり」 見せてくれるぜ、超新星! - ワンピース航海記録

 

 アプーの取り引き、オロチとカン十郎の黒炭家による執念の策略とバトル以外でも鬼ヶ島はパニック状態。そんな中、キッドとローは能力の覚醒を使ってマムを相手にコンビネーション攻撃!内部からの衝撃と大量の鉄による圧殺を決めますが…!

四皇を打ち倒せ!

 すっかり体力を使って息も切れ気味なローとキッド。しかし彼らがマムに決めたダメージは間違いないものです。これにはさすがに彼女も…。

 いやこれでやられるくらいなら四皇は名乗れません。大量の鉄骨を強引にどけて立ち上がると、彼女が周囲に問うのは“ライフ(寿命)”か”おしるこ”か。しかしおしるこは宴会でぶちまけてしまったので、もうありません。そもそもこの状況でおしるこなど取りに行けるわけがありません。

 というわけで、マムは周囲にいた百獣海賊団の船員の寿命を奪うと、どかした鉄骨にそれらを与えて戦力を増強します。さらに自分自身の寿命を1年使うことで、彼女はその巨体をさらに巨大化させました。その威圧感は恐ろしく、実力も想像できないほどですが、同時にそれは彼女がローとキッドを認めた証拠。何十年ぶりの大ダメージを受けた彼女は、彼らを敵として排除しにかかったのです。

「奪ってみやがれ!!!「四皇」の座をよォ!!!」

 圧倒的な存在…しかし時代は移り変わるもの。超新星タッグは、命の限りすべてを出す覚悟を決めます。

「刺し違えてもコイツを引きずり降ろす!!!」

目的の戦い

 その頃、岩戸の間ではドレークとアプーが戦闘中。すでにアプーの攻撃の発動条件を見切った彼は、ルフィ達への義理でアプーを狙います。もちろん、ナンバーズ3人も厄介な相手ですが…

 するとここにヤマトが乱入。彼女は岩戸の間から裏に回ろうとしていたのです。ヤマトの事情を知っているアプーは、今度はヤマトを勧誘。彼女は急いでいたので、とにかく向かってくると思ったドレークに攻撃しますが、彼も彼ですでに裏切りの身なのでその旨を説明すると、彼女はあっさり引き下がって再び武器庫を目指しました。

 そんな彼女になぜか興味を示したのは、ナンバーズの二牙。ヤマトを味方につけるため、そして追っていったナンバーズを止めるために残った2人も連れてアプーが追います。

「逃がすかアプー…!!!」

 

 さらに城内2階ではロビンを狙ってCP0が動き出しています。護衛をブルックに任せて、ミンク族たちが足止めしていますが、戦闘民族の彼らですら押されるほどの実力でした。相手のCP0はたったの2人ですが、マスクを着けた諜報部員は別格の強さを誇るのだとか。

 ブルックはロビンを連れて大ジャンプ!彼女らは逃げることができるのか…?

コックの決意と頼み

 その頃、クイーンから逃げていたサンジは遊郭にいました。念願の遊女に会った彼ですが、その表情は衝撃に包まれていました。

「何もやって…ないハズなんだ」

 彼の視線に映るのは、頭から血を流しながら怯えて泣いている女性でした。他の遊女たちは、サンジが遊女を傷つけたというのですが…いや、まさか…。

 サンジは遊郭から出ていくと、クイーンと鉢合わせ。しかし彼の頭の中は直前の出来事を考えていました。たしかに身体の変化について考え込んでいましたが、その際に扉近くで“花の都”から連れてこられただけの芸者に遭遇。彼女が見逃してくれるように頼んだ次の瞬間、その芸者は吹き飛んでいたのです。頭から血を流し、なによりもその眼は怯えており…。

 強敵に対峙しながら、サンジは静かに自問していました。それは自分に向けてではなく、頼れる船長に対してのもの。以前のように女相手では手も足も出ない生身の人間か、冷酷で無感情なもののどんな化け物でも打ち倒し命令に従う科学の戦士か、「海賊王」の両翼にはどちらの方が必要なのかはわかりません。ただルフィが彼を仲間にしたかった理由は…。

 サンジはレイドスーツを取り出します。すでに身体の変化は止まっており、推測ですがこのスーツが元々彼の中にあった科学の部分を引き出してしまったのでしょう。

「———だったらこれ以上はナシだ!!!おれは「ジェルマ」にはならねェ!!!」

 覚悟の元にサンジはレイドスーツを踏み潰すと、ある男に連絡を取りました。連絡先はドーム外でキングと戦っていたゾロ。サンジがいざという時のために、彼の帯に突っ込んでいたようです。

 この戦いで一味は必ず「百獣海賊団」に勝利すると誓います。しかし…もし、サンジが正気じゃないと判断した時には、ゾロに自分を殺すように任せます。

 キングの攻撃をぎりぎりいなしながら、サンジの発言に疑問を抱くゾロですが、今さら実力をルフィ並みに信用する男の言葉の意味を聞くことはしません。頼まれた以上、しっかりとその約束を果たすことを言い渡します。殺してやる。殺してやるから…

「それまで死ぬなよ」

「悪ィな」

 電伝虫の連絡を切ると同時に姿の消えたサンジに、クイーンは“ジャッジのせがれ”と呼びかけます。もはやその言葉は決別したはずの過去!しかしもしものことがあってもそれを止める仲間がいる!ならば、今はその燃え上がる怒りをぶつけるのみ!姿を現したサンジ渾身の“地獄の思い出”がクイーンに炸裂です!

あばよ、ジェルマ!

 サンジファンである私の感情がぐちゃぐちゃになりかけた今回の話。

 本当にWCI編が終わったのかを疑うほどの曇らせっぷりです。女を蹴ったのかと不安になるサンジの心情は本当にきついものがあります。カリファやヴィオラの時でも貫いた騎士道、他の兄弟たちとの違い、ようやく頼れるようになったブラックマリア戦、ゼフとの約束…本当に彼が蹴ったのならサンジというキャラの良いところをすべて否定するものでしょう。ただ絶対に傷つけていないと断言できます。もし傷つけたのならその描写をするでしょうし、彼自身その時のことをよく覚えていないことから誤解なのは間違いないでしょう。それでもこの描写はきついものがありますが…!しかも眉毛もなんか向きが…!

 しかしその後の描写が、個人的に完璧この上ありませんでした。まずルフィに語りかけるかのような自問自答は、サンジが自分が失わないままルフィの力になりたいと考えていることに加えて、そんなサンジをルフィが必要としていることがよくわかるセリフだったと思います。

 そしてレイドスーツを破壊して、改めてジェルマに決別をつけた後に、その実力を最も信頼しているであろうゾロに、自分がおかしくなった際に殺すことを頼むそのやり取りはエモい関係性でした。

 最後には自分じゃなくなるかもしれないこの戦いだけでも終わらせてやるという彼の決意と強力な一撃…かつてはギャグたっぷりであった“地獄の思い出”も深い意味を感じる技になったのは見事というほかありません。

 

 また冒頭ではマムが自身を戦力と共に強化!似たような能力であるカゲカゲの実ができたことなので、ソルソルの能力が出来てもおかしくないですね。

 しかし同時にいよいよローとキッドの勝利フラグが立った瞬間とも言えるでしょう。この2人にはルフィに並ぶライバルであって欲しいので、ぜひここでマムを倒して欲しいところです。時代は変わるのだ…四皇を打ち破りその座から引きずり降ろせ!

 またロビンもいよいよピンチになってきました。相手のCP0はたったの2人ですが、ミンク族をあっさり倒せる実力は本物です。仮面付きの別格さは伊達じゃありません。フランキー、ジンベエ、早く来てくれェ!

 

 いや注目場面はかなり多かったのですが、やはりサンジファンの私としては中盤からのものすごい感情になりながら今回の話を読んでいました。たしかに科学の戦士としての才能は遅ればせながらあったかもしれない。しかし母と姉が守り、大恩あるオーナーが育て、仲間達が惚れ込んだその優しい心を持った彼の人間性は、レイドスーツを踏み潰した時にしっかりと残っていることを認識させられました。

 サンジVSクイーン…その激闘を目に焼き付けてやるぞ!と思いつつ、また次回!ここで次回は休載かよッ!

第1032話「おでんの愛刀」 プテラノドンって… - ワンピース航海記録