ワンピース航海記録

こちらはワンピースを中心に物語の感想などを扱っているブログです。

第1095話「死んだ方がいい世界」 地獄かよ…

 1095話の感想です。

 扉絵リクエストは「バギーがリスザルにトレードマークの鼻を奪われて追いかけているところ」です。これと似たようなシチュエーション、バギー絶対に経験したことあるでしょ…。

第1094話「“五老星”科学防衛武神ジェイガルシア・サターン聖」 なにこの…なに? - ワンピース航海記録

 一瞬の隙で黄猿に痛烈な一撃を叩きこんだルフィ。一方でボニーを回収して撤退しようとするベガパンクたちの前に現れたのは、人間とは思えない姿をした五老星のひとりサターン聖で…。

不思議な力

 冒頭、一般海兵は五老星が地上に降りたということで退却していきます。少将以上でないと見ることすら許されない存在に、驚きを隠せません。

 その頃、サターン聖がボニーに刺されたことで海兵たちも構えます。ひとり、アイスラッガーやろうとしている…!

 しかしサターン聖はまったく怯まず、海兵たちを一喝。そして目が光ったかと思うと、ボニーは頭部に強烈な衝撃を受けて吹き飛びかけます。そのまま巨大な手で彼女をむんずと掴みますが、サンジはそうはさせるかと向かってきます。しかし彼も同様に途中で頭部へのダメージを受けて倒れました。さらにサターン聖が刺された剣を抜くと、見る見るうちに血が消えていきます。ば、化け物だ…!

 海兵たちはベガパンクを捕えようとするが、構えるだけで充分だとサターン聖は命令します。また近くに倒れていた黄猿は会話くらいならできますが、しばらくは動けそうにない様子。

「どれ」

 大将である彼をここまで追い詰めた相手が誰かは十分に理解しており、蜘蛛のような足でルフィを踏み刺そうとします。

 しかし間一髪でフランキーが“ストロング右”でルフィを殴り飛ばして回避。そのまま伸ばした腕で回収します。普通に助けてくれよ!

 これには協力型の海賊団だとサターン聖は評価しますが、その程度で動じる人物ではありません。そのままボニーを強く握り締め苦しめます。助けに行きたいのはやまやまですが、どうもサンジたちは見えない何かに押さえつけられているような感覚があるようで…。

くまの人生

「お前が…父を殺したんだサターン…!!」

 ボニーは苦しみながらも強烈な眼光でサターン聖を睨みつけます。くまのことは彼もよく知っている様子で、かつて世界に対して大罪を犯したという一族の末裔である“バッカニア族”という絶滅種の生き残りなんだとか。

 サターン聖の命令で海兵たちがボニーの頭を狙う中、彼女が思い出すのはくまとの記憶。彼が語ったのは昔から人々を救うヒーローになりたかったとのこと。その憧れは解放の戦士ニカであり、その独特のリズムで一緒に笑い合います。彼女が自分のことも自由にしてくれるかと問いながら…。

 ここからくまの回想がスタート。47年前に南の海にあるソルベ王国で彼は生を受けました。父と母に愛されて生まれた彼はどうも訳ありなようで、医師は血液の件について漏らさないことを約束します。

 だが病院に政府が介入したようで、医師も泣く泣く告白するはめに。くまの父は自分がバッカニアだから家族を見逃すように頼みますが、結果的には家族3人とも天竜人の奴隷として捕らえられます。

 まだ子供ながら大きめの体格と木箱や陶器類を一気に持ち上げられる筋力により他の天竜人に自慢され、少し早く動けないなら鞭で叩かれ続け、泣こうものなら殺すと脅され…。

 そんなある日、父と会った彼は近況を報告しあいますがその会話の中で母が亡くなったことを知ります。

「今頃天国だ その方が…いいよな!!」

 ぼろぼろと大粒の涙を流し、その現実にくまは苦しみます。その時は彼も死んだ方がいいのではと訴えますが、父の言葉が思いとどまらせます。バッカニアに代々伝わる太陽の神ニカがいつか太陽の下へと連れて行ってくれると。ボニーにやった時のようなリズムに乗せて彼を励ましてくれました。間もなくその声にうるささを感じた天竜人に撃ち殺される前まで…。

最低なゲームと不思議な奴隷

 さて月日は変わり38年前の西の海。ここで天竜人たちは3年に1度の腕試しをするというのです。その内容はなんと非加盟国で人間狩りを行い、政府所有の島にするというもの。あまりにもふざけた理由に選ばれたその土地は豊富な資源があることが確認されています。名前を“ゴッドバレー”…!

 当然、ゴッドバレーの国王が怒り抗議しますが、それを早々に斬りふせた天竜人がひとり。スタート前の行動なのでお手付きということでポイントがマイナスになったと言われながらも、その男はまったく動じません。

「それくらいのハンデがあった方がいい」

 彼こそ神の騎士団のひとり、若き日のフィアーランド・ガーリング聖でした。

 その頃、逃げ出したくまはボコボコにされて他の奴隷たちに捕らえられていました。10人で連帯責任になるため彼らも見逃すわけにはいかないのです。

 そんな中、彼らに力強い声で呼びかけるコンビが登場。ひとりの男は目玉であるバッカニア族の生き残りであるくまに興味が湧いたそうです。片や少女は歯抜けながらも肉を食って兄貴分をからかうような発言。両方とも奴隷とは思えない活気でくま達に問いかけます。

「どいつもコイツもしみったれた顔しやがってヴォレは生きるぜ!!お前らどうする!?」

 男にエンポリオイワンコフ、少女にジニーの名前が出たところで締め!

酷い世界だ…

 無茶苦茶なタイトル名に、一切偽りない内容がお出しされた今回の話。尾田先生、どんな思いで描いたのよ…。

 メインはくまの過去でしたね。ボニーが彼の記憶を覗いたおかげで導入はすっと入った印象です。以前、わずかに描写されたくまの記憶は今回の終盤ですね。そしてシンプルに内容がきつすぎます。愛されて生まれたかと思いきや、間もなく奴隷として捕まり、人とは思えない扱いと天竜人のゲーム感覚で行われる残虐性にぞっとしました。くまと彼の父親の涙顔が心をえぐってくるのよ…。

 一方で悠々としているのは天竜人。若き日のガーリング聖まで登場しています。髪型は相変わらずおかしいですが、顔はかなりカッコいいですね。倫理を疑うようなゲームに率先して参加しているけどな!これで現状はシャンクスの血縁可能性があるのがな…。

 きつい描写が多かった今回ですが、設定面でも気になる場面が続出。まずはくまの種族ですが“バッカニア族”という名前だと判明。名前はカリブ海の海賊や、酒の神バッカスを連想させますね。絶滅種と言われる辺り貴重でしょうね。マムが言っていた万国にいない3つの種族の最後のひとつでしょうか?

 どうも巨人族となにやら繋がりがあるようですが…今のところはそれなりの巨体と怪力くらいが印象的です。ただやはり気になるのはサターン聖の言葉。かつて世界に対して大罪を起こしたということですが、それを聞くと政府相手に何かをやったとしか思えません。彼らもDに関係するのでしょうか。ただサウロにしかり、エルバフにしかりここ最近は巨人族にフォーカスが当てられている気がします。考えてみれば、ワンピースで神にずっと言及していたの彼らだったな…。

 そして前半はサターン聖の謎の強さも発揮します。ベガパンクが指摘したように悪魔の実の能力が考えられますが、やっていることはもはや念動力です。あの頭部への衝撃も外骨格を得たサンジにまであれほどのダメージを与えるのは強力ですし、自己回復まであります。これでも全然本気じゃないのでしょう。そう考えると、見た目は牛鬼っぽいけど本当に別の存在にしか思えません。作中で言われている通り、化け物が一番しっくりきます。というか、回想でも年齢変わっていないっぽいですし、マジで悪魔のような人外かオペオペの不老の手術受けたのか…?

 ただやはり気になるのは回想の舞台がゴッドバレーということ。つまりこれからガープ、ロジャー、そして読者がもっとも気になる要素の1つであるロックス海賊団が現れることが確定しています。ロジャー最大の敵と評価されるロックス、そのビジュアル含めて今から楽しみなことこの上ありません。

 また開催を宣言している後ろにあるいくつかの宝箱も気になります。舞台がゴッドバレーで、複数の能力者が過去編で出ているため、あの中に悪魔の実が入っているような気がします。天竜人が楽しみ目的で奴隷に食べさせることはハンコックたちが証明済みですし。となると、ニキュニキュやホルホル、これから来るロックス海賊団を思うとウオウオもありそうです。

 さていろいろ書きましたが…やはり今週は全体的にきつい!久しぶりに本誌を読んでいた時に1回閉じて休憩を挟みましたし、ブログを書いている最中も吐きそうになりました。最後のイワンコフたちの登場にどれだけ救われたことか…!まさかの登場に驚きましたが、奴隷時代でも変わらないテンションの高さとバイタリティに一種の感動すら覚えます。ここから時を経てドラゴンとも出会って革命軍結成も気になるところですね。ところで隣の彼女は名前的にボニーの母親でしょうか?兄貴ってイワンコフのこと呼んでいるけど、本物の兄妹か、それとも慕っている感じか…。

 今回を読んだ後だと、他のキャラたちの株が上がったり、思うところがあるのも面白いです。あの環境で人間性や善性を保っていたドフラミンゴの両親とかミョズガルド聖とかイレギュラーすぎる…!

 それに天竜人が出るたびに最低値を更新するような言動をしていれば、キングがジョイボーイを諦めてカイドウを慕うのもわかりますし、白ひげの無償縄張りなども偉大さを感じます。マムの寿命国政制度もあれのおかげで政府の干渉を防げるもの。天竜人を相手に奴隷解放したフィッシャー・タイガーとかもう偉人どころではありません。

 あと個人的に最近、総集編でデービーバックファイトを読み返したおかげでフォクシーとかもすごく感じます。なんであの海賊団、差別意識なく船長含めてあんなに楽しくやれるのよ。

 ちょっと別の場面ですが、ルフィが黄猿を相手に完全にダウン取ったのを見てカイドウの評価も上がりました。いやあれだけ連戦やって、焔雲も出しておいて、どうしてギア5相手にそれなりに対応できているのよ…。

 ただ今回の場面、露悪的にも感じられるため苦手な人は本当に辛いかもしれません。読み返すとこれまでのキャラの理解が深められても、読み返すのが難関なのが…!本当にルフィに頑張ってほしい…ウィーアーみたいにしみったれた夜を吹っ飛ばしてほしい…!

 辛い感覚とロックス登場の期待という矛盾した状況に精神的に疲れつつもまた次回!ここで休載か…。

第1096話「くまちー」 良かったと思うんだけど… - ワンピース航海記録