ワンピース航海記録

こちらはワンピースを中心に物語の感想などを扱っているブログです。

第1103話「ごめんね、お父さん」 悲しみに包まれて

 1103話の感想です。

 今回はカラー扉絵。麦わらの一味と龍形態のモモの助、ヤマトの空での宴です。辰年ということでモモの助たちも追加されているんですかね。尾田先生、まだワノ国のキャラたちを描き足りないか(笑)

第1102話「くまの人生」 彼が生きてきた意味 - ワンピース航海記録

 自我が消える日が近づいていく中、くまが希望を見出したのはルフィでした。新世界に入る前に、彼らを飛ばして力をつけさせる時間を与えた後、いよいよ自身の死を受け入れる瞬間に。ベガパンクから多くの者たちから愛され慕われていたことを伝えると同時に、最後の最後まで娘の幸せを願っていたくま。彼の最後の言葉に記憶を見たボニーは涙し…

語られる真実

 くまの記憶を見たボニーは泣きながら、ベガパンクに謝罪。彼の方も自身のいたらなさを感じつつ、いよいよボニーに話していたものを渡します。それはサファイアが中心にあるネックレス。彼女の10歳の誕生日としてくまから預かっていたものでした。なんでもこの太陽のネックレスがお守りと話していたようですが、その言葉はある意味では正しかったかもしれません。この現状にニカの能力を持つルフィが関わったのですから。そして彼女は理解しました。自身が恨むべき相手が誰なのかも…。

「お前の父…くまは死んだ」

 そして場面は戻って、現在のエッグヘッド。ボニーはサターン聖につかまり、周囲には銃を構える海兵。ベガパンクやサンジたちは見えない何かに抑えられているように動けず、ルフィは空腹でエネルギー切れと大ピンチです。

 しかし真実を知ったボニーは抵抗を試みます。”ゆがんだ未来”による”ニカみたいな未来”で肥大化した腕によるパンチを狙いますが、まるで風船にでも当たったかのような軽い音しかでません。どうも彼女の能力が弱まっているようです。

 ニカ…その単語にサターン聖は反応を示しますが、ルフィには繋がっていません。ただニカがどんな存在なのかは理解しているようですが…。

 その一方でいつの間にかルフィには大量の食糧が与えられており、バクバクとたいらげています。これにはサターン聖もさっさと海楼石で封じるように命令し、再びボニーに向き直ります。

 年齢操作も効かない彼は、彼女の能力についてどうも知っていることがある様子。なんとこのトシトシの能力、与えたのはサターン聖だとのこと。直接、食事を取れない赤子にエキスで能力が得られるかの実験をしたようです。そしてこの能力は現実を知るほどに未来を狭めていくため、弱体化にも繋がっているようです。この弱体化している能力がニカを信じきれない証明となっていることを指摘します。

 さらに畳みかけるように伝えられるのは、“青玉鱗”の真実。なんとボニーの母であるジニーに薬物実験を行っていたようで、あの病気は被験者の副作用だったみたいです。つまりボニーの一家を滅茶苦茶にしたのは…

「全部…おまえが…」

絶望の先に光

 更なる真実にボニーは涙し、ベガパンクは怒りに震えます。自分で蒔いた種を持って交渉などとマッチポンプもいいところな話ですが、サターン聖は全く動じず睨みを利かせます。

「おい…私の身にもなってみろ“虫ケラ”の気持ちを理解しろと言うのか?不可能だ…」

 これはまさに天竜人のトップクラス発言だわ…。

 そして同時期にくまがエッグヘッドに到着。しかしサターン聖は威権順位のこともあり、まったく気にしていません。くまは海兵の大軍に砲撃を受け続けますが…。

 一方でボニーは完全に戦意も折れて、ぼろぼろと涙を流します。圧倒的な実力差による恐怖、真実を知りつぶれる心、絶望を抱く彼女は…

(このまま死んだ方が…楽かもしれない…)

 父への謝罪を胸に泣き叫ぶ彼女に対して、サターン聖はうっとうしい様子で海兵に狙いを定めるように命令。いよいよ終わりが近づく中、海兵たちが現れたくまのレーザービームで吹き飛ばされます。

 ならば自分がとサターン聖はボニーを地面へと叩きつけて、大きく脚を振り上げて刺突を狙います。しかし…

「お父さん!!」

 間一髪!くまがボニーをかばって、背中でサターン聖の攻撃を受けました。さらにその脚を掴むと、そのまま拳を振りかぶって…!

だいたいコイツのせい

 2024年初の回。

 もっぱらボニーの絶望とサターン聖の黒幕感が描写されましたね。サターン聖についてはくま関連の件が彼に集約している結果となりました。まあ、海賊を騙すことは海兵たち側でもあるでしょうが、それにしたって能力や青玉鱗まで彼が原因なのに条件を提示したのはどこまで図太いんだと思いましたね。それをとんでもないセリフですっぱりと切り捨てる辺り、天竜人のトップクラスであることを改めて認識させられます。こうなると他の五老星も容赦ないことが想像つきます。もうこの際だから他の件についても、だいたい五老星が悪いことに出来そうな雰囲気ですわ。

 それに加えて、実力もあるのでボニーが絶望を感じるのも頷けます。まあ、出生に父母の件まで言われて心がボロボロの状態で、反攻しようという方が無理な話でしょう。セリフがくまの父親の死んだ方がいい世界の件を思い出してきつい…。

 だからこそラストのくまの登場が輝きます。自我を失ってもヒーローとして父親としての心は死なないんだ…!なぜ彼がここに来たかは謎ですが、やはりベガパンクが何かしらのプログラムを組み込んでくれたのでしょうか。いやここは王道少年漫画らしく、気持ちが常識を乗り越えたという展開でも、私は大好きだ!

 正直、くまはボロボロな上にサカズキとの戦闘や砲撃も喰らって満身創痍。あとどれくらい戦えるかはわかりません。ゆえに、ルフィと一味たちに期待するしかないでしょう。彼に食料を与えたのは…描写的には黄猿だと思いますが、ワノ国の時のようにカリブーの可能性もありますね。カリブーだと包囲網を抜けるために必要ですし、黄猿は…ここ最近のおいたわしさで裏切って彼にかけるのも納得できるでしょう。なんだったら、そっちの方が黄猿のメンタル的には良いまであります。

 とにかく今回はサターン聖の悪辣さが光った回ですね。キャラとしてはその圧倒的な雰囲気が描写されて好きですよ。また科学者としての様々な実験についても触れましたし。能力をエキスで授けるというのは赤ん坊に言及していましたが、これこそが物に悪魔の実を与えるということに繋がるでしょうし、それを踏まえると彼も並みの科学者でないことがわかります。そういえば青玉鱗については薬物実験と言ってましたが、どんな薬物の実験なのでしょうか。以前の医師のセリフなどからすると、ここ最近になって発見されたということなので、実験自体が最近始めた可能性がありますが…。五老星自らが行う実験となると、何気に重要なものな気がします。

 サターン聖の謎とくまのヒーロー感の対比に燃えつつ、また次回!

第1104話「ありがとう、お父さん」 悲しみを破る拳 - ワンピース航海記録