先日、久しぶりにデジモンと検索したらデジモンアドベンチャーtri.の続編(?)についての情報が更新されていました。
以前にこの作品については感想を書きましたが、決して良い評価ではありませんでした。
久しぶりにワンピース以外で書く物語は、デジモンアドベンチャー02の映画「前編・デジモンハリケーン上陸!!/後編・超絶進化!!黄金のデジメンタル」の私的な魅力と合わせて、tri.の続編について期待することも書いていこうと思います。
視聴した前提で書いていこうと思いますので、未見の方はご注意を。
あらすじ
夏休み、大輔たちは海でその休みを謳歌していた。一方、タケルとヒカリはニューヨークにいるミミを訪ねに行くが、自分たちの目の前で彼女が消えてしまった。アメリカだけでなく、日本でも選ばれし子どもが消えていく中、タケルたちからの連絡を受け取った大輔たちはアメリカへと向かう。その道中、デジモンを連れた少年ウォレスと出会い・・・
ストーリーの展開と終着
この作品の大きな見どころでもあるのが、大事なパートナーに手をかけられるかどうかについての葛藤です。時間が止まったままのチョコモンと訣別するウォレスとグミモンの行動を皮切りに、最終的にはチョコモン自身の願いから打ち倒す形になりました。
最終決戦時にデジモンたちの奮闘によりデジモンとパートナーの絆の重要性を改めて認識させてくれるのですが、中盤の大輔とウォレスの会話が見事です。ウォレスの葛藤もですが、感受性豊かな大輔のおかげでチョコモンを倒すことへの苦悩がより共感を得られるようになります。というかウォレスが後述する理由もあってか、彼の存在がかなり重要なんですよね。
加えて、チョコモンとグミモンの双子設定のおかげでチョコモンの感情をわかりやすくしてくれます。
このように設定を利用しつつ、キャラの性格を活かして無理なく最後の展開を意味のあるものへと仕上げていると思いました。いや物語として当然とも言えるのですが、それでもこれを上手にできるのはストーリーを面白くするために必要でしょう。
希望の持てるビターエンドのような感じですが、私はこの終わった後の余韻がたまらなく好きでした。ハッピーエンドでない=評価低いわけではないですし。
キャラのはっきりした掘り下げ
全体的にこの作品はしっかりと映画のゲストキャラに焦点を当てていたために、独特の空気があるものの物語にはっきりとした深みを与えることができたと考えています。
まず実質主人公とも言えるウォレス。彼のチョコモンに対しての葛藤は並々ならないもののはずですが、視聴しているとちょっと難解な感じにも見えます。というのも、彼の発言はタメや間が長いとも言うのでしょうか、こちらに心情を読ませるような形が多いため人によっては冗長に感じるかもしれませんが。
私が思うに、彼は再びグミモンとチョコモンと一緒にいたかったのだと思います。まさに昔と同じような完璧な状態で。ただチョコモンの行動やグミモンの言葉、大輔との会話から過去との決別を決心したように思えます。
私としてはチョコモンと会うこの旅にひと夏の思い出・・・サマーメモリーという言葉を使うのは妙に印象的でした。彼はそのひと夏の思い出が特別だったのでしょう。彼がグミモン、チョコモンと過ごした思い出であり土地の名前なのですから。
そして彼のパートナーであるグミモンもいい味を出しています。軽い口をたたきながらもウォレスへの心配と気遣いがパートナーへの信頼を視聴者へわからせてくれます。
加えて、チョコモンとの双子設定のおかげでチョコモンの感情や存在を知るためにも一役買ってくれていますね。おかげで敵役のチョコモンへの掘り下げも深くなっています。もちろん彼自身のチョコモンへの感情も生半可なものではありません。しかしパートナーデジモンという存在はパートナーを守るためなら死をも覚悟します。だからこそウォレスを守り、彼が決断した時は兄弟である自分が決着をつけようとも思ったのでしょう。それでも辛かったでしょうが・・・。ラストのラピッドファイアのミサイルの顔を見てもそれがわかります。
そういえばこのデジモンってテリアモンなのにウォレスって最後までグミモン呼びでしたね。チョコモンにもでしたけど、もしかして進化することにちょっと否定的な面があったのでしょうか。ガルゴモンになってウェンディモンと戦闘する時、ウォレスはけっこう動揺していたみたいですし。
そして物語の根幹、事件の元凶でもあるチョコモンは戻れない過去に捕らわれたままの悲しい存在としてウォレスや他の選ばれし子ども達と関わってきます。いや実際は彼なりにその過去を昇華しようとしたと思うのですが、それでも過去に戻れない現実に改めて直面してしまったことに負の感情が抑えきれず、結果的に得体のしれない黒い怪物になってしまった感じでしょうか。もはや世界ごとその暗い何かで覆い尽くそうとする恐ろしさに、戦闘面でも侮れません。特にあの黒い球なんて特に恐ろしいですよ。ダメージを与えられないし、常時ラブ・セレナーデじゃないですか!(ちょっと軽くなったような言い方)
それでも最後は取り込んだマグナモンとラピッドモンに止めを刺してほしいと願うようなジェスチャーをします。あの時の彼は何をおもっていたのか、本当に過去と決別する気持ちになったのか、じつは私も断定できないのです。ただ彼もわかっていたと思うんですよ、過去には戻れないことを。それを受け入れて、未来へ一歩踏み出した瞬間が、あの時だったのではないのかなぁと。
ところでチョコモンはケルビモンでフロンティアへ出ていますね。アンティラモン(完全体のとき)もテイマーズに出ていますし、相方のテリアモンは続編でレギュラーと今思えばかなりの出世だと思います。この作品、今でも印象に残るようなデジモンが初登場してるんですよね。人気デジモンとしてはもちろん、ネタとしても。マグナ、セラフィ、ホーリードラ・・・。
雰囲気づくり
この作品、全体を通してデジモンの中でも異質な雰囲気がかもしだされています。おそらくBGMと特徴的な表現が大きいでしょう。軽快とはいいがたいどこか不気味だったり感傷的だったりする音楽、子供アニメらしくない表情や行間から心情を読み取るようなセリフや映像による比喩的表現など全体を通してこういったものが多いです。
加えて、これにテレビ版とは全く異なったキャラデザや作画が絶妙にマッチしておりそれが良くも悪くも従来のデジモンとは違った雰囲気を作っています。総作画監督の相沢昌弘さんって昔ポケモン映画やっていた人ですね。最近だと別名義で封神演義の監督もやっていましたね。あれは私も・・・。
この作品がデジモン映画の中でも賛否分かれやすい理由がまさにこれです。人によって冗長性や意味のない間延びに感じますし、バトルなどは前作のウォーゲームのようなスッキリした感じではありません。
ただ私はここに魅力を感じ、その雰囲気のせいもあってか間延びした感じはしませんでした。つまりこの終始一貫した特徴的な作風により、欠点にならずより味わい深いものになったのです。
来年のデジモン映画に期待すること
この作品はデジモン好きな人からしてもかなり賛否分かれるものだと思います。私自身も欠点は少なからずあると思っていますし、いかんせんデジモン同士の派手なバトルが見たい人からすれば満足しないのもわかります。
ただこの作品を取り上げた理由がもう一つありまして、tri.が6章かけてグダグダやったことを約一時間でより面白く描かれていると思ったからです。
既存のキャラと絡ませるなどして新キャラの掘り下げを過不足なく行い、必要な設定を絡ませることで過程を丁寧なものにしています。また雰囲気を作っているためセリフや行動にも説得力が生まれています。そもそもセリフが行間を読ませるようなものでも、話している内容自体はわりとストレートですし。
デジモンアドベンチャーtri. 第6章 「ぼくらの未来」と作品全体の感想 - ワンピース航海記録
tri.の感想については以前書いたので、ここでは来年公開されることになったデジモン映画に個人的に期待したいことを書いていきます。
キャラを生かして、活かして
まずこれはしっかり押さえていきたいです。どうもtri.を見ると思ってしまうのが、芯の無いブレブレな性格に違和感です。キャラがそのストーリーで生きているのではなく、物語の都合上キャラの性格にブレがあったり損な役回りに当てはめられているといった感じでしょうか。
設定を見る限り、tri.から約5年後、無印からだと約11年は経過しています。当時のキャラと性格に違いがあるのは致し方ない面もあるでしょう。ただ我々視聴者にも見てきたデジモンのキャラというのがあります。デジモンアドベンチャーという世界観で生きるキャラたちが見たいのです。差異はあれど、あまりにもかけ離れたり物語の都合でそのキャラらしくない懐疑的な言動はして欲しくないと思います。
02組はこの際、何らかの理由づけで出さなくてもいいと考えています。02が大好きな私としてはちょっと残念な気もしますがtri.でのことを考えると・・・。ただしその理由もtri.の時のような雑なものではなく、無理のないものを期待しています。さすがにあの時はタケルやヒカリの反応が無関心すぎた。
それとtri.に出ていた芽心ですが公開されたキャラクター紹介にはいませんね。彼女も出さなくてもいいと思うのですがどうなるのかな?まあ彼女じゃなかったとしても、メインで新キャラを出すなら掘り下げは欲しいですよね。
キャラデザは・・・tri.の時の大幅な違いがあったので別に大きなことは思わなかったですね。
どこを重視するか
せっかく「デジモンアドベンチャー」の続編を行うのです。私としてはやはり注目したいのは無印キャラの成長とそこから来るパートナーのギャップですね。昔と比べて大人になった太一たちがデジモンとどのように接して、どのようにさらなる成長をするのかというのが楽しみです。
上記の点は私の願望なのですが、ここで一番言いたいのは重視した点をしっかりと描けるかということです。もっと簡単にいえば、テーマを作品に落とし込めるか。当たり前のことなのですが、tri.ではそれすらも怪しいと感じたので視聴者にも伝わるように、そしてデジモンを見たという実感がわく内容にしてほしいです。
もちろんバトルなどにも期待するのですが、せっかくのリニューアルで成長期から成熟期の進化をすっ飛ばして、また安直にオメガモンなどをだして終わらせようものならそれは違うような気がするんですよ。この際、映像で魅せられるならば究極体無しでも私は一向にかまわん!
必要な展開、演出
今思えばtri.の6章というのは間違いなく長かったです。しかし合計時間で言えばテレビシリーズの方が長いですし、緩急のつけ方も程度の差はあれこちらの方が出来ていたと思います。そもそも1週間ごととある程度で一気に流すのでは違うのですが。
無駄で冗長な場面やバンクの使い回しによる尺伸ばしはやめて、必要な演出や伏線回収、迫力ある戦闘などに時間を割いてほしいです。
ところでそもそもこの作品は一作だけやるのでしょうか?その場合、時間にもよりますがなおさら削るところは削る必要があります。
伏線もtri.の続編とはいえ、もう姫川さんや偽ゲンナイの再登場なんかには期待していませんし、出したとしてもこんなに時間経った後で頑張っても上手にたたむのは難しいのではないでしょうか。
私はデジモンを愛している
私はこの世で最も好きな漫画はワンピースですが、少年期を形作った物語としてデジモンにも並々ならぬ思い出と愛着があります。周りはポケモンへ情熱を注いでいましたが、私はモンといったら比重としてはデジモン寄りだったのです。
だからこそデジモンにはより面白いものを見せて欲しい、特に一時代を築いた「デジモンアドベンチャー」の続編ともなればなおさらです。
ぜひとも来年の映画では、デジモンファンの予想は裏切っても期待は裏切らないような作品を見せて欲しいです。そして映画を製作した方々ならびにデジモン関わった皆様にありがとうと言えるような気持ちになりたいのです。
それが今の私の願い・・・I wishなのです。