ワンピース航海記録

こちらはワンピースを中心に物語の感想などを扱っているブログです。

第1101話「ボニーへ」 少女出航

 1101話の感想です。

 今回はカラー扉絵。ベガパンクと6人のサテライト、ベガフォース1の見開きページです。ベガパンク達の色合いもよくわかりエッグヘッド編のアニメもまた楽しみになります。シャカとピタゴラスはいないけど…。

第1100話「ありがとうボニー」 その言葉が温かい - ワンピース航海記録

 ボニーの治療にあたり、サターン聖が提示した条件は王下七武海の加入と彼自身の改造、そして自我を失うことでした。実質的な死刑宣告ですが、くまはボニーのためになると安心してそれを受け入れます。また治療後の直接的な接触も禁じられ、別れ際に生の感謝を伝えて、くまは七武海の仕事に勤しむことに…。

子を思う

 冒頭、3年前のコルボ山ではルフィがひとりで特訓中。ちょうど“ゴムゴムの戦斧”を編み出して、見物していたワニやトラに披露していたところでした。

 その様子をこっそりと見守っていたくまが思い出すのは、かつてドラゴンと交わした会話。以前、ゴア王国に来た際に彼が国に詳しかったことやその外れの村で小さい男の子を見ていたことを指摘しました。これについてドラゴンは自分を殺したければ続けろと謎の発言。これにはくまも不思議そうにしますが…

「子は…親の弱点だ」

 その発言の意図を察したくまはそこで会話を打ち切りましたが、今の自身の境遇から思うことがあったのかルフィを一目しに来たようです。

 異様な気配にルフィは振り向きますが、お得意の瞬間移動ですでにくまはその場から消えていました。この会合は未来にか…。

 さて政府の指示を受けて、七武海の仕事を続けるくま。とはいえ、圧倒的な実力でねじ伏せるというよりは襲っても病人を先に助け他の一行についてくるように言ったり、降伏を促したりと優しい一面は変わっていません。

 そんな航海中でも、ボニーへの手紙は欠かさずに世界の美しさを愛娘に向けて発信していました。いいお父さん…。

届かない手紙

 では、その手紙ですがソルベ王国にはなかなか届きません。まあ世界も広いし、くまの能力で様々な場所からなのでアクセスも悪いと考えれば、おかしくないでしょう。待ち望んでいるボニーに、ギョギョやコニーはそのうち来るとなだめます。

 さてこの日に来たのは新聞とくまの手紙。アルファは新聞をポストに入れると、くまの方の手紙はよくこれほど書けるものだと言いつつ、くだらないと破り捨てました。いや、お前の仕業かい!どうもこれまでずっとこの方法を取っていたようです。

 さて今日もくまの手紙が来ないことにがっかりしたボニーは、発散のためにギョギョに勝負を挑みます。以前から大人に勝つほどの腕っぷしのある彼女、趣味のジェンガよりも優先しています。

 体格大きくしてギョギョに打ち勝つ彼女ですが、ちょうどその時にアルファが薬の時間と言って入ってきました。間一髪、彼女にはぎりぎりボニーが大きくなっていたことがバレずに済みました。どうもコニーの指示で能力者であることを伏せているようですが…。

残された時間

 場面は変わって、今度はくまがベガパンクと一緒にいました。どうやらいよいよエッグヘッドの基盤となる構想ができたようで、完成まで間もなくと言ったところです。頭も切って、現在と同じような見た目に。これには彼と一緒にいたステューシーも感心します。クローン人間である彼女の方も、これから自我を失うくまには思うところがあるみたいですが…。

 くまの方も自我を失うというのは、どういうことなのかが気になるところ。今でも命令には従順な彼ですが、戸惑いや迷い、躊躇などはあるはずです。自我を失えばそれすら消え去り、人としての感情や記憶が全て無となることです。もっともベガパンクもそこは理解しており、ギリギリまで自我は残すつもりのようです。もっともその猶予もせいぜい1年程度ですが。

 そしてくまはこの間にもペンを走らせて手紙を書いています。

「時間がある限り伝え続ける おれはボニーを愛してる あと1年で一生分の想いを綴るつもりだ」

 この愛情にステューシーはにっこり。読者も彼女に共感しちゃいたくなります。いいな!

 さてこの日はボニーの9歳の誕生日。教会でもコニーお手製の巨大ピザがふるまわれ、彼女は皆に祝われます。

 そして夜中、どんちゃん騒ぎで皆が寝静まった頃にボニーはまたもやポストの中身を確認しますが、そこには最も祝って欲しい父からの手紙はありませんでした。

「9歳になったよ?お父さん…手紙くれるって言ったじゃん…」

今がその時!

 手紙が来ないまま半年が経った頃、くまは相変わらず政府の指示に従っているようで革命軍を助けたりと、本人なりの正義を通しています。

 そしてボニーの方はついに皮膚の石も綺麗に消え去り、外に出たがります。とはいえ、政府の指令もあるのでアルファはこれを禁じます。

 さてここでコニーは教会の皆を集めると、アルファが政府の諜報部員であることをこっそり伝えます。どうやら町で飲んだくれていた際に口を滑らせたようで、さらにボニーの病気も完治していることが判明します。

 どうもきな臭いこの案件、そもそもくまの性格から手紙が一通も来ないのは不自然です。そこでコニーが提案したのは海に出て父を探すこと。並みの海獣や海賊にも負けないチンピラ漁師であるギョギョたちの力を借りて、父を探すことを勧めます。

 さて教会からコニーが出てきますが、それは能力でお婆さんになっていたボニー。アルファの目を掻い潜り、外の世界の美しさを噛みしめながら彼女は港へと歩を進めます。

 ギョギョたちと合流するとピザ加工した船に乗って出航!しかしここでボニーとコニーが成り代わっていたことに気づいたアルファが追ってきました。すでに出航していますが、さすがは政府の諜報部員。月歩で空中を追ってきました。死なない程度にボコボコにして拘束に切り替えようとしますが…。

 ここでボニーが思い出すのは、くまから聞いたニカの特徴。自由と解放の戦士の特徴はゴムの性質によって自由に戦うこと…大好きな父を探す自由を勝ち取るため、彼女は戦います。飛び上がった彼女は”ゆがんだ未来”で体格を大きくすると、そこからさらに腕を肥大化!具現化するのはその戦士!

「“ニカ”みたいな未来」!!!

 大きな腕でアルファを殴り落とし、見事に撃破!齢9歳の人質であった少女が乗る父を探す漁船は、いずれ新世代として名を馳せることになるのです。

大喰らいの始まり

 ボニーが出航した今回の話。

 とはいっても、やはり気になったのはくまの想いでしょう。残された時間は少ないと分かりつつも、愛する娘にめいいっぱいの愛情を伝えようとする姿がとても印象深かったです。子どもの件でドラゴンとのシンパシー的なのも感じたのか、行動ひとつひとつが憂いを伴いつつも味わい深いものとなっていました。優しさも健在ですし、そんな彼がニコニコで手紙を書いている場面とか、ステューシーと同じように素直に良いなと思ってしまいます。

 そんなボニーはソルベ王国の人たちの手も借りながらついに出航。鍛えていたおかげで実力もなかなか、さらには悪魔の実の能力者、加えてくまから教わったニカの知識で見事にアルファを撃破しました。まさに新たな旅立ちといった痛快さが感じられます。

 ただ個人的にはくまが誕生日を祝う思いを語っていたすぐ後に、手紙が来なくて涙していたボニーが悲しかったです。涙腺弱くなったのか、また胸をえぐられるような感覚でした…。だからこそ彼女が完治して外を歩いている場面や出航した瞬間は安心と感動が押し寄せてきましたね。

 そしてボニーの出航にもっとも貢献したのはコニー王太后。能力者であることを隠し、情報を仕入れてギョギョたちに話をつけるまでしていました。なかなかしたたかですが、これまでの立場と長年の経験が活きたのでしょう。初登場のなんともいえない表情からどんどん好きになっていきます。

 逆に大いにしてやられたのはアルファの方。前回おバカっぽい印象とか書きましたが、想像以上の失態で驚きましたね。手紙は検閲ぐらいして渡せばよかったのに、結果的に不信感を抱かせるし、酒に酔って諜報部員であることをばらすし、挙句の果てには返り討ちって…。カリファは天然でしたけど、この人の場合は向いていないことこの上ありません。イヤイヤな仕事で鬱憤が溜まっていたのでしょうか?まさか酔わせて吐かせるまでがコニーの企み…いや疑い持たれている時点でアウトだわ!結果的にサカズキが尻拭いする形になりましたね。

 それにしてもトシトシの実って、ベガパンクが話していたこうなりたいという願望を最も現わしやすい能力に感じられます。いくら腕っぷしの強いとはいえ、9歳の少女が六式使える相手を倒すって…!

 しかし出航したとはいえ、くまには会えていない可能性が高い気がします。そもそも会おうにも真面目なくまのことだから条件のために彼の方から離れていきそうで…。彼女に賞金首がかかった際のくまの心情も気になるところです。

 個人的にはボニーがくまが残していた手紙の内容を知ることを期待しますね。ベガパンクが彼女に渡そうとしていたものとかってそうじゃないですか?せめて…せめてそれくらいは…!

 もうこの親子にわずかでも救いが欲しいと思いつつまた次回!次週は休載なので、次回が年内最後かな。

第1102話「くまの人生」 彼が生きてきた意味 - ワンピース航海記録