ワンピース航海記録

こちらはワンピースを中心に物語の感想などを扱っているブログです。

第1102話「くまの人生」 彼が生きてきた意味

 1102話の感想です。

 扉絵リクエストは「オオカミたちが食べるのを楽しみに一生懸命作った山積みのホットドッグを次から次へと勝手に頬張るボニー」です。流れ作業のように食べているせいか、山積みにすらなってねえ!

第1101話「ボニーへ」 少女出航 - ワンピース航海記録

 七武海として活動を続けるくまは欠かさずにボニーに手紙を書きます。そんな中、政府の役人によって手紙すらも受け取れないボニーは悲しむも、コニーやギョギョたちのおかげで見事に脱出。役人も倒して、大好きな父を探す旅に海賊として出航します。

海賊を始めよう

 今日も今日とてくまを探すボニー達。とある島にくまがいるという情報を得た彼女たちはさっそく上陸します。すでに海賊として名を上げている一行たちに、海軍たちも迎え撃とうとします。なんでも彼女たちが通った後にはボロボロの子どもや老人がいるのだとか。なんて酷い所業…といっても現実はボニーの能力で弱体化させられた海兵たちなどですが!

 ちょうど島では遠くからくまがその姿を見守っていましたが、会うことはサターン聖の条件で禁じられている身。こちらも能力による瞬間移動で島から出て行きました。もっとも愛娘の元気な姿にニッコリしていましたが。

 結局、見つからなかったことに残念がるも、今は自由の身。くまを探し、他にもニカなんか探してみたいと、思いっきり羽を伸ばすつもりです。

 一方でその能力を持つルフィは、この頃には初の賞金首。ドラゴンが気にしてローグタウンに向かったり、エースが嬉しそうにジンベエに自慢したりと様々な反応を見せます。

 くまも同じように子どもが海賊という立場で感慨深そうにする中、ボニーたちは自分たちなりに海賊の掟などを決めています。どこか海賊ごっこ感はありますが、口紅塗って大人っぽくしたり、頬にはくまに気づいてもらえるために以前の宝石の箇所にピアスをしたりと、彼女なりの努力が窺えます。

もうひとつの希望

 場面は変わってエッグヘッド。着々とパシフィスタの製造が進む中、くまはベガパンクにルフィとドラゴンの関係をこっそりと話します。いずれ記憶を見せる仲なので隠し事もしないようですが…。

 そんな彼がいよいよ一味と対峙したスリラーバーク。ルフィを渡すことを拒み、彼をかばったゾロの心意気に感心します。

 さらに白ひげとの戦争が近づいてきたころ、くまはシャボンディ諸島にいました。いよいよ自我を失う日が近づく中、目的は愛娘ボニーを一目見ること。すっかり立派に成長した彼女に安堵する中、天竜人を殴った事件が発生。これに驚くくまですが、その中心は当然ルフィ達でした。

 何百年、誰もできなかったであろうこの事件、心打たれた彼はまたもや一味の前に現れます。それはちょうど黄猿、戦桃丸、パシフィスタに取り囲まれて一味がピンチに陥っていた頃。くまは次々と一味を能力で飛ばしていきました。あの時、仲間を守れない自身の弱さに涙したルフィでしたが、それを内心強く否定していたのがくま自身だったのです。このレベルではまだ新世界には及ばない。まずルフィにはやるべきことがあるはずなのです。なんといっても彼は…

(まだ来るな お前はいつか世界を救う男だ)

まさにヒーロー

 お次はエッグヘッドにて、ベガパンクがサターン聖と通信中。なんでも今度はくまに自爆装置をつけることにされていました。せめて代わりに自我の延長や人格をスイッチ式で変える脳の回路の実験を頼みましたが…

『私は命令したのだベガパンク…』

 問答無用でこれらの話を切り捨てられます。サターン聖も科学者らしく、ごまかしもきかず、このままくまの人格を消す方向に…。

 さてこの会話、くまが別室で聞いていました。改造されて聴覚まで強化されていたようです。いよいよ人格を消すこの日、おそらく初陣が白ひげ海賊団との戦争になるでしょうが、くまはその後に麦わらの一味の船を守るプログラムを入れてほしい旨を伝えます。

 ルフィの行動ひとつにくまは感銘を受けていました。彼が憧れたニカのような人々を笑顔にする戦士、あくまで伝説ですがもしもこの世界にそれに類するヒーローがいるとすれば…

「おれは…彼だと思う」

 そんな期待にどこか哀愁のこもった笑みを浮かべるベガパンクは、くまから研究素材として能力によってはじき出された記憶を提供してもらいます。触れれば消えるものですが、触らずに見る装置を作ったのだとか。

 いよいよ人生が終わりに近づく中、くまは自分がどれだけ迷惑をかけてきたかを呟きますが、ベガパンクは生きること=迷惑をかけることだと伝えます。

 両親から祝福されて生まれ、奴隷として走ってイワンコフやジニーといった同志と出会い、牧師となっても走り続けドラゴンやギョギョたちに頼られ、愛するジニーと呼ばれ、革命軍になって躓きそうになりながらも走り続け、ボニーという愛娘を授かり、七武海になってからも走り続け、ベガパンクによって希望も得られました。

「…!!お前を愛した人間の数だけ!!お前の死は迷惑である!!!ええか くま お前こそヒーローじゃ!!!」

 ベガパンクは称賛と共にレーバーを下ろし、ついにくまの自我を消しさりました。そんな彼の最後の言葉は、ボニーに会ったら伝えてほしい言葉。

『10歳の』

『誕生日』

『おめでとう』

走り続けた一生

 くまの記憶ラストとなった今回の話。

 ちょっと涙腺おかしくなりそうなくらい涙が止まりませんでした。特に印象的なのはくまの自我消滅直前の走り続ける描写。バッカニア族という苦しい立場でありましたが、両親、仲間、恩人、愛する人と間違いなく人には恵まれた人生だったと言えるでしょう。戦桃丸もエッグヘッドの島民も祈りを捧げるほどでしたし、ベガパンクは淡々とと言いながらも滝のように涙を流すほどです。また多くの奴隷を救い、ソルベ王国を救い、革命軍として人々を救ってきた彼のことを惜しむ人はたくさんいるはずです。最後の最後まで聖人として生き抜いた彼こそが、ベガパンクの言う通り「ヒーロー」と言えるでしょう。

 そんな彼が希望を見出したのは、麦わらのルフィとその一味。自身の境遇を困難にした天竜人への行動や仲間達の心意気に予想以上に感動していたようですね。いや彼の出自を思えば当然でしょう。死んだ方がいい世界などと言われたこの世に、ボニーと同様なほどの光を見出すのも納得です。だからこそ…だからこそルフィ(ニカ)に繋いでほしい…!

 そういえばボニーとは1度も会えませんでしたね。彼女は子どもなりにギョギョたちと海賊を頑張ろうとしていたのが感慨深いです。もろもろ報われない彼女でしたが、くまの記憶を覗いたおかげで、これまでの父からの手紙と望んでいた誕生日を祝う言葉を直に聞く形になったのはせめてもの救いだったのではないでしょうか。というか、そう思わないとこっちもボニーのように涙がきついんですよ!

 おそらく次回あたりからサターン聖との勝負が始まるのでしょうが…下手したらくまがエッグヘッドに来る可能性があるんですよね。しかも自爆スイッチって…巻き込み自爆とかありそうで怖いです。

 いろいろ書きましたが、やっぱり終盤のくまの走っていく姿がものすごく印象的です。大切な人たちのために必死に走り続け、ジニーがいなくなったところで転びそうになるもボニーのおかげでまた立ち直るとか…ダメだ、また涙出てくる…。

 2023年ラストのワンピース、ルフィたちがほとんど出ていないのにまさかここまで胸打たれることになるとは…。まずは涙を落ち着かせつつ、また次回!

第1103話「ごめんね、お父さん」 悲しみに包まれて - ワンピース航海記録