前回、「ハイスクールD×D」について様々書きましたが、現在放送中のアニメは「ハイスクールD×D HERO」というタイトルでした。
熱血王道詐欺ライトノベル「ハイスクールD×D」 - ワンピース航海記録
それで思ったのですが、このアニメのタイトルに「HERO」という文字があります。原作でも主人公がヒーローや英雄などともてはやされていましたが、ヒーローという肩書きは簡単に認定しても良いものなのでしょうか?
いや、ヒーローだけでなく物語で主人公などメインキャラが名乗る肩書きは、やはり簡単なものじゃないはずです。
さて私がヒーローを考えるにあたって、真っ先に思い浮かんだのは「仮面ライダー」です。
今回はその中でも、私がもっとも衝撃を受けた「仮面ライダークウガ」から「ヒーロー」について考えていきたいと思います。
伝説を塗り替えるヒーローのありかたを御覧じろ!
あらすじ
西暦2000年、長野県山中の九郎ヶ岳で謎の古代遺跡が発掘された。発掘チームが調査する。
日本に久しぶりに帰ってきた冒険家“五代雄介”は発掘に協力していた友人と共に古代文字の解読について知らせに向かうが、遺跡にあった棺から現れた謎の存在によりチームは全滅し、周囲は酷いありさまとなっていた。
警察が調査する中、遺跡から運び出されたベルトのようなものを見た五代の頭に謎のイメージが現れ・・・
概要
平成ライダーシリーズ第1作目である作品。
作風が以前の昭和ライダーものと比べると、ドラマの要素が強くなっており、凝った内容となっています。(それが理由で脚本ギリギリだったり、撮影遅れたりもあったようですが)
これまでになかった新しい試みも多く、昭和ライダーの設定とは大きく違う一面も見られます。ライダーが敵の改造人間でない、敵が悪の秘密結社ではなく独自の文化を持つ生命体、戦闘時に必殺技名を言わないなどが挙げられます。
話が難解になりやすく、敵であるグロンギの殺人が残酷すぎるなど子供向けとは言えず、見る人を選ぶような面も大きいですが、その練り込まれたストーリーとドラマ性から、未だに根強い人気を誇る作品です。
私がクウガを選んだ理由
ここでいう「ヒーロー」は物語内で、苦しい立場に身を置きながらも、人々のために悪と戦い、一般基準での正義を実行する者です。
そして私の中では、ヒーローを語る上で欠かせないのが、「仮面ライダー」です。ヒーローの有名どころで、その数は昭和、平成を合わせればかなりの数になります。
私が数ある仮面ライダーの中からクウガを選んだ理由は、「ヒーローに至る理由」に説得力を感じたからです。
具体的なエピソードとセリフも示しながら、私の考えも含めて書いていきましょう。
第2話「変身」
「こんな奴らのために、これ以上、誰かの涙は見たくない!みんなに笑顔でいて欲しんです!だから見てください!俺の!変身!」
五代がクウガの基本形態であるマイティフォームを披露する話です。 この話では、前の話で五代がクウガの力を身につけたことにより、戦うことへの決心を描いたストーリーとなっています。
上記のセリフは後に彼の相棒枠ともなる一条薫を助けるために、五代が覚悟を決めてクウガへと変身する際のセリフです。
五代の場合は「みんなの笑顔のために」というのが決心させた要因です。一見、偽善者の理由ですが、これが納得できるものに仕上げられています。これもひとえに一条さんの言葉や五代自身のおかげだな・・・。
主人公がヒーローになるのは、「自分で決心、覚悟するべき」というのが持論です。周りがヨイショして、成り行きでなっていくものではなく、自分にとって迫られた状況に身を置き、決断する・・・そうすることで「ヒーローになることに説得力」が生まれていきます。
というか、説得力ある決心無しでヒーローになると・・・なんか鼻につくようなことになりかねません?
第12話「恩師」
「いつでも誰かの笑顔のために頑張れる・・・すごく素敵なことだと思わないか」
こちらは主人公の五代に大きな影響を与えた恩師の神崎先生にスポットを当てた話です。教師としての在り方、限界に悩む先生の描写と五代のトレードマークであるサムズアップについて語られる話です。
上記のセリフは五代が小学生の頃に、神崎先生が言ったものです。
これは先ほどの覚悟や決心にも密接に関わっているのですが、ヒーローとして認められるのならば、かなり重要な点です。
五代の場合は軽薄に見えますが、実は誰よりも漢として強い意志を持った好青年なのです。それに伴った優しい一面や行動は、作中の人々を惹きつけていきます。前述したような偽善っぽさを、本当の善と思えるのは彼がそれに見合った行動と人柄が作中で一貫しているからなのです。
つまりヒーローには「ヒーローとして納得できる人柄と行動」が必要だと考えられます。
やっぱり全体をひっくるめてヒーローと呼びたいものでしょう。
第30話「運命」
「俺を殴ってどんな気がした?嫌な感じがしただろう。それをあいつはずっとやっているんだよ。体が自分のものじゃなくなるかもしれない恐怖の中で、弱音もはかずみんなの笑顔を守るためにな」
第30話「運命」は、ドラマパートを民間人である蝶野(14話で登場したクウガの正体を知る人物)にフォーカスを当て、アクションではクウガと一条さんが見事なコンビネーションを魅せてくれます。
上記のセリフは、クウガの秘密を知る医師の椿が蝶野に対して放ったものです。弱音を吐かない五代の代わりに、理解のある彼が言うことでその苦悩を表しています。
さてヒーローは特別な存在であることは皆さんよくわかっていると思います。しかしそれは甘い汁を吸うための特別なものではないことを理解しなければなりません。そう、本来ヒーローは「苦しい立場」なのです。
ここで言うヒーローの場合は、どんなことがあっても戦わなければならない立場に身を置くもの。目的は人からあがめられるのではなく、人を守ることなのです。
人を殴って、いい気分になる人はごく少数です。そうではない人も、あとから来る嫌悪感は恐ろしいもの。 クウガ・・・五代の場合、その優しい性格からどれほど戦うという行為自体が辛いものだったでしょうか。
ちなみにクウガのオープニングの歌詞に「英雄はただ、ひとりでいい」というものがあります。
ヒーローとしての責任、苦しみを背負うのは、自分ひとりだけで充分なのです。たしかにひとりの人間ではあるのですが、ヒーローとして戦う以上、責任が伴います。この責任、苦しみを背負うことがどれほど重いことか・・・。
第35話「愛憎」
「理由なんてないよね・・・だから殺させない」
第35話「愛憎」でのセリフです。この話では敵の怪人がある中学校のクラスの子どもを執拗に狙ってくるのですが、最後の一人となってしまった中学生に対して五代が言ったものです。
ただここではセリフを取り上げていますが、どちらかというと34話と35話の内容とそこからどのように展開するか、五代が決意するかを見て欲しいです。
ヒーローは特別な存在ですが、我々と同じように感情を持つ人物です。
となると「ヒーローだからこその苦悩」にぶち当たる場面も必要です。それこそ特別な存在になってしまったことによる他者との違いや、戦わなければならないという事実、そして五代特有の優しさから拳を振るわなければならない苦しみが考えられますね。
苦悩する問題に突き当たった際に、それをどのように乗り越えたり、答えを出すかが重要となります。これはやはりヒーローとしての成長や説得力になり、見せ場にもなりえます。
ちなみにこの話、クウガのエピソード史上、最もエグイといっても過言でないものとなっています。下手するとトラウマになりかねない・・・。
敵役のスーツアクターさんは迫力だすために本当に殴られて、口内切ったのはファンからすると有名な話です。それくらい凄まじく、その後の展開もえらく印象付けてきます。
その答えも含めて、五代の決断がどうなったのかをラスボスとの戦いで知ることに・・・。
ヒーローの説得力
これだけ散々書きましたが、ヒーローの定義は物語や世界線、ひいては作者によって大きく違います。現にダークヒーローとかもありますし、それぞれのヒーローを比べるなんて失礼極まりないのかもしれません。
ただ「ヒーロー」というのは、やはり特別な肩書き。劇中で名乗る、評価されるには、形だけではなく、あらゆる面を吟味し、説得力が必要でしょう。私の中では、上記に挙げた話は、その説得力を教えてくれるものです。
これはヒーローに限った話ではありません。あらゆる肩書きに言えると思います。商業用の物語であれば、作成者の考えに触れられる機会にもなりえますし、これはもっと考えていいものではないでしょうか。
まあ、ヒーローの物語においてはこれ加えて、周りのキャラや敵も重要になっていくのですが。
ぜひ皆様には、クウガの上記のエピソードを見て、その必要性、重要性について考えて欲しいです。というか、クウガがドラマ性のある物語として本当に面白いので、出来れば全話見て欲しい!人によっては、トラウマになりそうなものもあるけど・・・。
ただやはり長いのは否めません。クウガ自体1話完結するようなエピソードは、総集編のような時しかありませんし。
そんな方には、「仮面ライダーディケイド」のクウガエピソードにあたる2話と3話はどうでしょうか。あれは小野寺ユウスケ(別世界の2代目クウガ)の決意が、見事なものです。その後の描写のせいでちょっと微妙に思えるかもしれないけど。
クウガは漫画や小説もありますが、漫画の方はクウガではない感じがありました。違うライダーとして割り切れば、そこそこ面白いけど・・・。小説はテレビ見てからじゃないと、わからないと思います。
ところで「ハイスクールD×D HERO」を視聴したのですが、やはり自分には合わないと思いました。ただラノベより見やすく感じた面もありましたね。
加えて、最近ラノベ好きの友人から、他のラノベやなろう原産小説なるものを借りているのですが、まあまあ面白いのもありますが・・・ヒーローどころか勇者や魔王、神なんかも安い存在になったなー。