1098話の感想です。
扉絵リクエストは「ブルックがデンキウナギの電気を使ったエレキギターでソロを弾いているところ」です。こんなあぶねえ演奏、骨だけの彼だからできるようなものでしょう。
第1097話「ジニー」 世界に喧嘩を売る者たち - ワンピース航海記録
貧しくもジニーと幸せに、時には苦労しつつも過ごしていたくま。しかし国王の新たな政策により投獄されることに。そんな彼らを救い出したのはドラゴンとイワンコフ。彼らと組み、革命軍を結成したくまは活躍していきます。そして月日が経ったある日、ジニーがさらわれたとの通信が入り…。
愛する者へ
進撃を続ける革命軍に、反乱中の国から救援の依頼が。しかしちょうどゴア王国で多くの避難民を乗せていたため、すぐに回せる戦力がない様子。
そんな中、くまが能力を使って現場に登場!その実力で敵を圧倒していきます。ただイワンコフからすればどうも無理をしているようで…。
というのも、ジニーが連れ去らわれてからくまは自分を度外視して必死で戦い続けていました。なんでもジニーはその美しさゆえに天竜人に妻として連れ去らわれたようです。部隊も全滅し、革命軍を英雄と謳う反乱軍にもくまは浮かない顔です。
そして2年後、急にバルティゴに通信が。なんと相手はジニー!なんでも病気にかかったため捨てられたのだとか。
ただしこの通信はあくまでお別れのために繋いだとのこと。くまはすぐにでも迎えに行くと言いますが、彼女は死期を悟っているようで自分に会いに来ないようにと念を押します。だがその言葉を無視してくまは能力によって瞬間移動。帰ってくる先は決まっているはずなのです。
「そしてくまちー…!!ずっと…!!ずっと大好き」
彼女の最後の通信を聞くことはせずに…。
ソルベ王国の教会に戻ってきたくまはジニーが帰ってきたことを問います。国民たちは肯定こそしますが、彼女の身体は全身が石のように固まっていたのです。なんでも自然光を浴びると、そのようになる病気なのだとか。彼女は自分に何かがあっても一緒にいた赤ん坊が生きていけるように海を渡ってきたようです。彼女の亡骸を運んだくまは泣いている赤子を前に誓います。
「ジニー安心してくれ…この子はおれが育てる」
激動の子育て
それからは忙しい毎日の連続。子育ては教会に来ていた老人たちの指導の下、苦戦しながらも懸命に頑張ります。ジニーのように食欲旺盛、成長してくまをお父さんと呼び、可愛らしい服も似合う年頃に。
ぐんぐんボニーが成長していく傍ら、革命軍としても戦いに参加し、後進の育成のために特訓に付き合ったりと本当に忙しい毎日です。
そんなある日、なぜか教会の窓を閉め切っていたことにギョギョたちは驚きます。それでもくまは扉を閉めることを指示。なんとボニーの頬に青い石のようなものがついていました。そう、母親であるジニーのように…!
すぐに医師に見せますが、原因は全く分からず。どうしていいか分からなかったくまは、娘のそばにいるために革命軍を止めることとし、ドラゴンもそれを受け入れます。
「よくわかった 後悔なく生きろ」
降りかかる受難
そして7年前のボニーが5歳のころ、相変わらず彼女は元気いっぱいです。
「おとといきやがれ!!!クソガキ共っ!!」
いじめてきた相手を返り討ちにするほどのお転婆と、母親に負けない口の悪さが目を引きます。
もっとも教会の外には出してもらえないようです。彼女も父のくまが悲しむ顔が見たくないとすんなりと従っています。
いじめられるのは顔の石のようですが、くまは宝石のようで綺麗だと言ってボニーもにっこり。そんな2人が話すのは病気が治ったらどこに旅行したいのかということ。空島や魚人島と夢が広がり、ニカのリズムに乗りながら語らいます。
そんなある日、ついに病名が判明。医者が言うには“青玉鱗”という近年ごくまれに見る難病で、あらゆる自然光によって身体の石は広がっていくとのこと。それどころか年齢を重ねても広がっていくようで、10歳になる前に亡くなるだろうと伝えられます。
ショックを受けるくまに、盗み聞きしていたボニーは満面の笑み。どうやら10歳の単語しか聞いていなかったようで、くまは10歳になるまで治らないとごまかします。しかしボニーはこれを10歳には治ると解釈。本当のことを言えず、くまは苦悩します。いや言えないよ…。
さらに1年が経過したころ、いつものお年寄りたちが涙や血を流しながらくまに助けを求めてきました。なんでも例のべコリ王が16年前と同じように南部を切り捨てようと、大量の殺戮を始めたのだとか…。
辛いわ…
くまとボニーの誕生が語られた今回の話。
まあいろいろ思うことはあるのですが…キッツい…!1095話にも劣らないレベルです。もうくまの過去編全般が読み返すのもげっそりするレベルです。
その最大の要因となっているのは、やはりジニー関連でしょう。ページ数は短いですが、彼女の言葉全てと末路が読者の心をえぐってきます。そして当たって欲しくない予想通り、ボニーはくまと血が繋がっていないことが判明。おそらく連れ去った天竜人との子どもでしょう。おおよそ少年誌ではハッキリ描写されないのも当然なことがあったのは容易に想像つきます。加えて、ジニーが何気に下界という言葉を使っていたのもきついです。天竜人の考え方に迎合する必要があったんだろうな…。
これだけでも辛いのに、ドフラミンゴの過去などからこの世界では似たような事象があることが容易に想像つきます。今更ですがくまやドフラミンゴの初登場時、よくマリージョアに迎えたな、海軍…!
またそんなジニーも奇妙な病気のおかげで10歳まで生きられないとされていました。あの無邪気さが逆に辛いのよ…。謎の病気は天竜人関連でしょうが、最近になってというのがどうも引っかかりますね。しかし彼女のジュエリーっておそらくここから…。
ところで今回の描写でボニーが12歳頃というのが判明しました。ベガパンクの言う通り、まだまだ幼いですね。それを能力で補っていた感じでしょう。加えて海賊団にギョギョたちがいたのも、今思えば保護者としてだったんだなって。どうでもいいですけど、このおかげで黒ひげが一部でロリコン呼ばわりされているのが地味に笑いを誘います。
もっとも今回で安心したのは、くまとボニーの日常でしょう。彼女が成長していく様子は微笑ましく、くまやお年寄りたちと同じように涙を誘います。すくすく成長したのもくまの愛情と人徳のおかげですね。
ゆえに最後の描写がまた辛い。例の王様が南部を燃やそうとする暴挙に出ました。どうして…どうしてここまでくまを追い詰める必要があるんですか…。もう過去編で彼がものすごく優しいことが分かっているからこそ辛い…。今思うとモーリーが言っていたくまの人生が政府の犠牲というのはその通りですわな。
ことの結末については、今回の話でだいぶ予想できますね。べコリ王の罪を何らかの形でくまが背負って異名の暴君がつけられる、ボニーの難病を治すにあたって政府との取引でパシフィスタの研究の実験体になる、ベガパンクが彼女の病気を治すなど、多くのことが予想できます。
正直、くまの壮絶な過去にしか注目できないですが、あえて一つだけ今後に大きく関連しそうだと思ったのが、彼が祈っていた教会の十字架。その中央に大きな丸とそれを小さい丸が囲むようなマークがあります。このマークって錦えもんが見せた背中の光月家の家紋にも一部あるんですよね。他にもアラバスタの船なんかにも。どことなく太陽を想起させるこのマーク、くまがニカを信仰していたことなどを踏まえると、太陽神ニカが様々なところで信仰されていた可能性が窺えます。そうなると政府がわざわざニカの情報を揉み消していたのは…。
ところで今回は扉絵リクエストにも描かれていましたが、原稿が間に合わなかったようでところどころラフ画になっていますね。これ、くまの荒んだ心情にちょこちょこマッチしているのが何とも言えない気持ちになります。
というか、尾田先生の体調は大丈夫でしょうか。ただでさえ激務で体は大変でしょうし、くまの過去を描くのは精神もすり減りそう…。
ぶっちゃけまた1か月くらい休んでもいいような気がしつつ、また次回。来週は休載だから少しは休んで…。