58話の感想です。
表紙連載は、「激闘12時間」。モージとカバジが武器も使わずに、殴り合いの中、リッチーが海賊船長になる夢を見ています。これが後に悲劇(?)をもたらすとは・・・。
誰もいない岩山に打ち上げられるサンジとゼフ。ここから壮絶な遭難生活が始まる・・・!
食料は大切に
ゼフから渡された食料を持って、ただ一人海を見るサンジ。船が見えても、ゼフには教える気はないようです。
食料はまる5日分。しかし命にかかわる問題なので、20日分に分けます。さらに幸運なことに、岩のくぼみには雨水が。水があるのは、せめてもの救いですよね。
ちなみに食料の中に、肉とかありますね。行動するには動物性たんぱく質が大事とか言いますが、サンジの場合はほとんど動かず待っているだけなので、どうなんでしょうか?
「20日も生きてりゃ絶対船は通る」
希望を忘れずに、船を待つサンジですが・・・
その日、ほんの僅かな食料を食べ、あとは水だけ飲むサンジ。もちろんこれだけで腹が膨れるわけもなく、ギュルルルと腹が鳴ります。
食べたい衝動に駆られますが、水に顔をつけてこれを我慢。さらに腹の音を押さえようと、お腹をどかどか叩くことに。
ちょっと生々しさが出てきたね・・・。
続く苦しみ
遭難生活5日目、天候が悪い日でしたが、先に船を発見!急いで火を起こし、気づいてもらおうとしますが、雨で木が湿気っており火がつきません。
「助けてくれえ!!!」
大声で叫びますが、また天候の悪さがとてつもないです。雷の音まで鳴り、船は気づくことなくそのまま行ってしまいました。む、無念!
そして遭難生活は遂に25日目、取り出した最後のパンにはカビが生えています。袋に残った残りカスまで食べますが、全然足りませんね。
涙ながらにパンを食べるサンジ。思い出すのは、客船で食事の残りを食べていた同僚たちの言葉。
自分が否定していたことをここで突きつけられるのが辛すぎるよ!
最終的には目まで霞んでいくほどに・・・(涙)
最後の食料
30日、50日、そして遂に70日も経ちました。水だけでもはやげっそり状況。海の方こそ見ていますが、目に光がありません。
そしてふと思ったのはゼフの存在。彼とは初日に別れて以来ですが、いったいどうなったのか、サンジは確認に行くことに。
見てみると、ゼフはまだ生きている様子。伊達に海賊やっていません。さらに横には最初に分けられた食料の袋が、大きさを変えてません。これはまだまだあるという証拠ですが・・・。
食料がまだあると知ったサンジは包丁を取り出し、ゼフの方へ。どこから包丁出てきたんだ・・・。
「もともとあのクソジジイが全部悪いんだ 殺したって奪ってやる・・・」
空腹で正気を失った子供に、包丁です。現実だと嫌な予感しかしないですよね。
そしてゼフの元へ。食料を奪う気満々です。包丁で袋を斬りますが・・・
男の夢と優しさ
なんと袋の中身は全て宝です。大人で自分の方が胃袋デカいとまで言っていたゼフ。今日まで食料はどうしていたのでしょうか?その答えはサンジが近づくと・・・
「自分の足・・・!!!食ったのか!!?」
ゼフは今日まで自分の右足を食べて、生きていました!食料はサンジに渡したものが全て!言うまでもなく、彼の戦闘は足を使ったものなので、今後海賊も出来ません!
この衝撃的な事実にサンジは涙を流しながら、疑問をぶちまけます。
「おれは お前のこと殺す気だったのに!!!おれは お前なんかに優しくされるおぼえはねえぞ!!!何でだよ!!!」
「お前がおれと同じ夢を持っていたからだ」
伝説の海「オールブルー」、クック海賊団の船員は否定していましたが、ゼフはサンジ同様、この海を見つけることを夢としていました。
たったそれだけのことですが、彼にとっては充分な理由。ボロボロでやせ細っていますが、その信じる眼は衰えていません!
最後の夢
遂に限界が来たのか、大の字でぶっ倒れるゼフ。そこで彼が口にしたのは、海賊での空腹経験からできた夢。
それは海の真ん中にレストランを立てること。
この海の恐ろしさ、残酷さを身を持って知った彼だからこそ抱いた夢です。大海賊時代で化け物がひしめき合う海では、ゼフレベルの男でもない限り難しいでしょう。
そして85日目、5日目にサンジが見た船が二人を助けに来てくれました。嵐とはいえ、聞いたような気がするということで戻ってきたようです。もっと早く来てくれよ!
場面は現代へ。パールの連撃を喰らいながらも、サンジはまだ立ち上がります。
それは地獄を知り、助ける価値すらないと言われた子ども時代とは違い、同じ夢を抱いたことで自身を犠牲にしてまで助けてくれた男のため。
「おれだって死ぬくらいのことしねェと クソジジイに恩返しできねェんだよ!!!!」
読み返しでも涙腺崩壊
カタクナとしては東の海編でもトップクラスに涙するストーリー。当時からボロ泣きした思い出があります。
やはり大きな着目点は、ゼフがサンジを助けた理由。同じ夢を持っているのを知り、サンジに託したという感じでしょうか。
仲間ですら笑う自分の夢と同じものを抱く相手を見つけた時のゼフの気持ちはいかほどだったでしょうか。いやサンジも同様か。
ただこの作品がより感慨深いものになったのは、サンジのジェルマ時代が明かされたことだと思います。
ジェルマ時代は本来愛してもらえるべき相手から愛されず、価値がないとまで言われたサンジ。そんな自分に同じ夢を抱いたという理由で、命だけでなく食料を与えてくれたと知った彼の気持ちは、苦しくも温かいものだったでしょう。
ところで今回、ゼフが倒れた後にサンジと交わしたやりとり
「てめエみてェな貧弱なちびなすにゃムリだ・・・」
「強くだってなるさ!!」
カタクナはこれが特に好きです!ジェルマ時代では弱かったことで虐げられ、死んだことにまでされた原因。しかし彼には自分が出来なかったことをやろうとする意志が見えるのがいいですね!
ちなみにアニメではゼフが足を失ったのは、サンジを助けた際に船体に絡まったため鎖で切断というものになっています。こっちも好きですが、やっぱり食料無いと辛いなと思いますね。
あと足じゃなくてもいいだろという友人がいたのですが、ゼフは料理人でもあるので、命でもある手を切る選択肢はなかったと思います。
ここでもサンジへの教えが!
とにかく今回の話は、何度読んでも涙ぐむ最高のエピソード。大槻マキさんの「Memories」を聞きながら読むと、涙腺崩壊しちゃいます!
エピソードへの感動と自分の感動を言葉にできないのを嘆きながらも、また次回・・・!