ワンピース航海記録

こちらはワンピースを中心に物語の感想などを扱っているブログです。

第1082話「取りに行こうぜ!!」 道化師吠える

 1082話の感想です。

 扉絵リクエストは「わたあめと間違えてゼウスを食べそうになるチョッパー」です。こういうのを見るとやりかねないな、とか思ってしまいます。

第1081話「黒ひげ海賊団10番船船長クザン」 立ちはだかる氷の能力者 - ワンピース航海記録

 海賊島に襲撃したガープたちの前に立ちはだかったのは、黒ひげ海賊団となったクザンでした。その頃、黒ひげに敗北したローはベポのおかげでなんとか離脱し…

海兵も油断できない

 冒頭、新聞では市民に愛されていた海軍本部中将のTボーンの殉職という衝撃の内容でスタート。海軍では死因を明らかにしませんでしたが、センゴクとお鶴の会話からなんと一般市民によって殺されたことが判明します。そしてその原因となるのは、海兵への賞金首制度を行ったクロスギルド…。早々にこの組織を戦わなければ、海軍の弱体化は必須なものです。

 そんな中、ヒナによってガープがハチノスに向かったことがバレて…。

 場面は変わって、新世界のカライバリ島。バギーたちの拠点には、身なりのひどい男性がいました。屈強そうにも見えない彼はなんと海軍本部中将を殺し、その賞金を家族に送ってもらったそうです。事件のあった島は飢餓がひどく、このまま飢え死にするくらいなら、お尋ね者になって家族と会えなくなっても、得た金で家族を幸せにすることを選んだようです。

 ということで、海を渡ったこの人物はバギーを筆頭にクロスギルドで面倒を見ることを約束。海賊の世界に仲間入りです。他の海賊の話では生でバギーを見れることも珍しく、周囲は生バギーコールとなります。

「失礼します!!“生ムギー様”!!」

「誰が穀物じゃ!!!」

 突っ込みどころ満載の言い間違いを挟みつつ、部下が報告したのはクロスギルドの船が完成したとのこと。

 いざお披露目となりましたが、豪華なものの見た目は船首がバギーの頭という飛んでもデザイン。バルトクラブが握手しそう(笑)

 当然、これには例のごとくクロコダイルもミホークも黒い影を落とした表情でご立腹。バギーを会議室に呼びつけます。カツアゲされる人みたいな光景だ…。

捨てたはずの夢でも…

 会議室ではクロコダイルとミホークが、クロスギルドの今後について話し合います。現状はかなり順調で、このまま理想の軍事国家を目指します。クロコダイルも理想郷の考えを捨てていなかったのね。そしてバギーは頭部だけ外されて、またもやボコボコにされる始末…。

(違う…おれの思い描いた人生はこうじゃねェ…)

 さて順調なクロスギルドが最終目的を達成するに必要なのは、強大な力と莫大な富です。これをミホークよりも先に指摘したのは、蚊帳の外と思われたバギーでした。殺せばいいと言いつつ、クロコダイルやミホークを半端ものとまで揶揄する始末。まるでヤケになったようですが…。

「回りくでェ事してんじゃねェよ!!」

 ここで彼がカミングアウトしたのは、自分もシャンクスもラフテルには行っていないこと。ロジャー海賊団にこそ乗っていましたが、彼としては隣にいるシャンクスがあまりにも優秀で、いつの間にか夢を捨てていました。しかしロジャー処刑の日、シャンクスは今はラフテルを目指さないことを言いきります。バギーとしてはコンプレックスを抱く一方で、ロジャーの跡を継ぐのは間違いなくシャンクスであると確信していたため、これにはショックでした。そのためシャンクスの誘いも断ったのです。

 それなのに今になって本格的に動き始めています。そして当時こそまるで届きませんでしたが、今は運や事故が重なりながら曲がりなりにも同じ四皇として肩を並べる存在なのです。それならばもう一度、目指したっていいじゃないか。ほんのわずかでも可能性があるのなら、ようやくあの男に並んだのだから…

「だったら゛おれ゛が!!「海賊王」になり゛てェ!!!」

 涙ながらにバギーは言い切ります。海賊王になることは、この世のすべてを手に入れること。富も名声も力も…この世の頂点なのです。

 これにはクロコダイルとミホークも呆れ切って、またもや吹っ飛ばす始末。海賊はあくまで利害関係のビジネス、さらに他の四皇たち全員と戦う必要もあるのです。

 しかしそんなこと出し抜けばいいと、バギーは主張。そしてこれを目指す彼の言葉の力を見せつけることに。手近にあった電々虫を手に取ると、拡声器で他の海賊たちに繋げます。彼のやろうとすることに気づいたクロコダイルたちは踏んで阻止しようとしますが、もはや彼の熱量は止まることを知りません。

 死ぬかもしれないお尋ね者という命、しかしその危険を伴ってでも求めたかったその夢、ならば彼が掴んで見せようじゃないか。

「取りにいくぞォ!!!“ひとつなぎの大秘宝”!!!!」

 クロコダイルとミホークが怒り心頭な一方で、海賊たちは歓喜に震えることに…!

帰還後の報告

 また場面は変わってカマバッカ王国の海岸。革命軍それぞれの副隊長、ウシアーノ、あひる、ギャンボ、ジロンのメンバーが近づいてくる船を発見します。隊長ほどじゃないけど濃いな…。

 そこに乗っていたのはなんとサボ!船はルルシア王国のもので、避難してきた国民も乗っていました。革命軍に入りたいという彼らですが、まずは休息をベロ・ベティが促します。相変わらずの飴と鞭ですな。

 サボの方は通信を傍受されていることが気づいていたので、物音3回の関節通信で自分は王国にはいなかったことを伝えていたようですが、それでもコアラやモーリーは心配していたようです。

 さてサボはドラゴンとイワンコフだけ連れて、場所を移します。隊長たちにも聞かせられないその内容とは…

「聖地マリージョアで起きた「本当の事」全部話すよ…!!!」

彼も四皇であった

 バギーの本音が印象的であった今回の話。

 今まで運が重なって四皇という座に上り詰めていた彼でしたが、ここにきて本音と夢をぶちまけました。内心ではずっとシャンクスにコンプレックスを抱きつつ、同時に期待も寄せていた彼が、ロジャー処刑日にシャンクスからの勧誘を蹴った理由が失望と悔しさにまみれていたのがよくわかります。

 もはや夢を捨てていた彼ですが、曲がりなりにもシャンクスと同格となり、今度こそ彼に勝つ気である様子は個人的にはかなりグッときましたね。まさに負けて腐っていた銀メダリストに彼はずっと前からなっており、ここにきてラストチャンスを掴みにかかったのでしょう。彼もなんだかんだでロジャー海賊団の一員だったんだなと感慨深くなります。

 というか、あの言い方からすれば今でもシャンクスの方が上なのは認めているんですよね、彼…。今思うと、2巻でルフィがシャンクスの麦わら帽子かぶっていたことにキレるわ、そりゃ…。

 クロコダイルやミホークの言葉は正論ですし、実際彼らの方法は立場を踏まえれば間違っていないと思います。しかし同時にバギーの再起は間違いなく海賊を奮い立たせたでしょう。彼の海賊としての気持ちとカリスマ性に、ある意味で2人はしてやられましたね。

 もっとも客観的に見れば、彼の海賊王としての道は険しいです。組織力や戦力はあるものの、ロードポーネグリフ集めで完全に後手に回っています。ロジャー関連でワンチャンはシャンクスもいるから無理でしょうし、彼がこれから勝つとすればおそらく誰も手に入れていないヒノキズの男関連のポーネグリフを真っ先に手に入れるしかないでしょうね。

 他の注目ポイントとしては、やはり冒頭のTボーンの死亡記事。強面ながらも海兵として素晴らしい正義を持つ彼がまさかの市民に殺されたという情報に、読者も唖然としたでしょう。実際、チョイ見せで絶句しましたもの…。

 しかも犯人を見る限り、本当に普通の人なんですよね。飢餓や大金は人を変えるのは、まさにその通りなものです。民を守る海兵がその民に牙をむかれては、本格的に海軍の弱体化は目に見えてますよね。スモーカーやヒナ、緑牛のような非殺傷系の捕縛能力持ちが重要ですわ。

 というか、Tボーンって殺されたことを受け入れていそうですよね…。自分の力が足りなかったばかりに民にこのような選択をさせてしまったとか、自負で涙を流していそう…。あの真っすぐな性格で、ゾロをも認める実力者だからこそ一種の人気も誇っていたキャラだものな…。

 そして終盤の方はサボが登場。本人はルルシア王国にはいなかったとのことですが、ルルシア王国の船に乗っていたので近場にはいたのでしょうか?何気にルルシア王国の国民が生き残っていたことにはホッとしています。モーダとか良かったな、本当に…。

 さて彼が見た真実はかなり気になるところです。ビビやワポルが匿われているのを踏まえると、相当なことが起こった印象ですが…。彼が語るレヴェリーやマリージョアで起こった出来事は読者に大きな波乱を呼ぶでしょう。

 そして、なんだかんだで個人的に1番印象的だったのは、やはりバギーの場面です。海賊王になりたいという発言はもちろんのこと、その後の部下たちを鼓舞するためにワンピースを手に入れると言い放ったのがグッときました。あのあたりのクロコダイルとミホークに啖呵を切りながら、この言葉を使って先導する辺り、四皇としてのカリスマ性は本物だと実感させられました。この後にクロコダイルとミホークがどのような行動をとるかも見ものです。仮にも彼らだって海賊王の処刑日を間近で見ていたからな…。

 ここ最近、四皇全般のすごさを目の当たりにしていると実感しつつ、また次回!

第1083話「あの日の真実」 マリージョアの出来事 - ワンピース航海記録