ワンピース航海記録

こちらはワンピースを中心に物語の感想などを扱っているブログです。

第944話「相棒」 殺戮武人の末路

 944話の感想です。

 扉絵リクエストは「子ザルに麦わら帽子を被せて頬を赤らめるハンコック(ルフィをプリントしたTシャツを着用)」です。傍から見れば動物好きのように見えるんだけどねぇ・・・。それとこのお題だとハンコックの方がTシャツを着るような文脈だと思いましたわ。

第943話「SMILE」 外道も極まったなぁ・・・ - ワンピース航海記録

 

 恩人が亡くなっても笑い続けるえびす町の人たち。その理由は戦力増強のためのSMILEによる副作用をオロチが利用したためでした。同じく泣きながら笑うおトコが父の亡骸に寄り添いますが、オロチに見つかってしまいます。彼女に銃弾が襲い掛かりますがゾロとサンジの二人がそれを防いで・・・。

反逆の麦わら一味

 突如現れたゾロ十郎とサン五郎に湧く人たち。オロチも処刑を邪魔されたことに怒りながら再び銃を構えます。部下の侍たちに殺しの許可を与えつつ狙いをつけています。

 対するゾロはサンジにおトコを預けると刀を抜きました。一味は康イエの遺体だけでも回収しようとしますが、ここで戦っては康イエが命を懸けた行動を多少なりとも不意にします。しかし少なくともゾロは怒りを抑えられる状態じゃありません。康イエの笑顔への想いを思い出しつつ、遠距離から「二刀流七百二十煩悩砲」でオロチに仕掛けます。まさかの奇襲に反応できないオロチ。これは読者も思いのほか早くスカッとした現状に・・・

 しかしそう簡単にはいきません。ここでゾロの攻撃を防いだのは狂死郎!同じく刀でゾロの斬撃をいなしました。うーむ、お見事。

 

 すっかり作戦を無視して攻撃するゾロに対してサンジは怒鳴りますが、彼の方にも後ろから刺客が。アロサウルスへと姿を変えたドレークがおトコごとサンジを食おうと大口開けて噛みつこうとします。サンジはジャンプで何とか回避。そのまま逃げながら戦います。

 一方でオロチを狙うゾロには大量の銃弾が!それをここは任せろとばかりにフランキーが盾となり防ぎます。ウソップ、ナミ、ロビンの援護のもと、そのまま康イエの遺体を回収。こちらは何とかなったようです。

 オロチはかごに乗って城へ退却。部下たちへ殺しの命令を飛ばしながら去っていきます。ゾロは追いたいところですが、狂死郎が行く手を阻みます。

「どけよ!!!」

「そうはいかん!!拙者 将軍の犬ゆえ」

 まさにワノ国名物である侍の実力ですわ!

キッドと鎌ぞう

 さあ、この大混乱を映像で見ていたルフィは周りの目も気にせずに大応援。心配するヒョウ五郎に、大爆笑するクイーンが印象的です。

 

 するとここで罪人が花の都から到着したとの報告が。その人物はなんとゾロと戦った人斬り鎌ぞう。なんでも任務を果たせなかったために処分をクイーンたちに任されたようです。

 さらに道中で脱走していたキッドも捕らえられました。なんでも鎌ぞう連行中に何かを叫んでおり数発の海楼石の銃弾を撃ち込まれたようです。すでに錠をつけられているのを忘れるような人物ではないはずですが、何が彼をそこまでさせたのか。

 

 あっけなく自分から捕まったキッドに驚くルフィやクイーン。しかし当の本人はお構いなしに歯を食いしばっていました。そして口を開くと、誰かに対して自身の笑い方が嫌いだったことを話します。大笑いをやめ、それどころか顔も隠すようになったなどと思い出すような話し方。

 どうやら共に連行されている鎌ぞうに対して話していたようですが、彼らのどこに共通点があったのでしょうか?

「おれと離れた後カイドウに何をされた!?オロチか!?みんなはどこへいった!?」

 キッドの問いかけにも気にせずに笑っていた鎌ぞう。そして次のキッドの一言は読者を震えさせるものでした。

「答えろよ!!!おい!!キラー!!!」

 なんと不気味な笑い声のオロチの下手人は、キッドの右腕である超新星の殺戮武人キラーだったのです!どうやらSMILEを食べさせられたのか、彼も笑うことしかできないようにされたようです。

キレ気味エキサイト

 ということで、さっそくキッドと鎌ぞう改めキラーは全身を縛られると逆さ吊りで並々と水が入った水桶に頭をぶち込まれるというシンプルながらもドエグイ処刑を開始されます。

 さらにルフィたちへの大相撲インフェルノにルールが追加されます。それはルフィたちが生きている限り、キッドたちは水につからせるというもの。ルフィとヒョウ五郎か、キッドとキラーかの二者択一状況を作り上げました。もちろんルフィとキッドは関係ありませんが、キラーの件を知ってルフィが少し動揺していることにすぐさま気づいたクイーンの容赦ないルール追加です。

 

 もちろん納得するわけがないルフィはぶっ飛ばすと言いながら、腕を伸ばしてクイーンを殴ろうとします。しかしそこは大災害、こぶしを受け止めて薙ぎ払うとこれまでとは違っていらだつような口調になります。

「調子にのんじゃねェよ小僧共 何を勝手に“希望”抱いてんだ?本気で生きて帰れると思ってんのか?おれ達に勝てると思ってんのか?

 死ぬんだよ お前らは一人ずつな!!!」

 おしるこを食べていない苛立ちもありますが、ここはまさに四皇の大幹部。恐ろしいほどの威圧で百獣海賊団の力を教えます。

 

 だがそれでひるむようなルフィではありません。四皇大幹部がなんだというのです。こんな威圧でビビるほどの気持ちを彼は持ち合わせてはいません。

「おれの死に場所はおれが決める!!!」

 ルフィの啖呵とともに部屋の外から“ズゥン!!”と巨大ながら鈍い音が響き渡ります。いったい何かと思われますが・・・

「おしるこ・・・」

 やばい、本当の破壊者が到着しちまったところで今回は終わりです。

仮面の素顔は涙だらけ

 前回でただでさえ気持ちが沈むような設定の公開だったのに、畳みかけるようにぶち込まれた今回の話。

 再び登場した人斬り鎌ぞうですが、なんとその正体はキッドの相棒で超新星のキラーでした。これまで仮面を被り素顔は不明だったので、まさかのカミングアウトとなりましたね。今の時点でも包帯ぐるぐる巻きだから言うほど素顔がはっきりしているわけでもないけど。

 しかもSMILEを食わされたようで、彼自身のコンプレックスである死神のような恐ろしい笑い方が止まらないという苦しい状況です。正直ワンピースって笑い方程度で嫌な思いするのかは疑問ですが、そこは人それぞれですしキラーとしては最終的に素顔を隠すほどイヤだったのでしょう。何よりもあのキッドが問いかける場面での彼の涙を流しながらの笑い顔を見ると心がいてぇ・・・!SMILEを食べた予想は当たったけど、まったく喜べないわこれは。ローやチョッパーあたりが何とか治してくれないものか・・・。

 不意を突かれたとはいえゾロですら苦戦するほどの実力、鎌という本来の彼の武器に似た獲物を考えれば予想できた内容・・・ではないよねこれは。しかしゾロVSキラーの大バトルはしっかり見たかった気もします。ゾロは牛鬼丸に横槍入れられるし、キラーは本来の武器でないうえにまともな精神だったのかも怪しいし。

 キッドが抵抗する気をなくして捕まったのも納得できます。ようやく会えた大事な相棒があんなことになっていれば、いろいろ気力失せるって。あるいは彼のことだから怒りと悲しみの炎は心の中に燃えているも海楼石で力を出せないことに悔み、せめて話を聞いたり一緒にいてやろう、そして敵本陣に乗り込んで真実を聞こうと思ったのかもしれませんね。だってこんなのルフィからすればゾロあたりにひどい仕打ちをされたようなものじゃないですか!

 

 ここで疑問なのはなぜキラーがオロチの手先になっていたかということ。キッドとは別の場所に収監されており、そこで屈服するのを選んでしまったのでしょうか?少し気になるのはクイーンが話していたキングへの拷問好きの変態野郎などという暴言。クイーンをしてそう言わせるキングの拷問があったのかもしれません。または同じ超新星で姿を現していないアプーあたりも気になります。

 一方でクイーンも今回は四皇大幹部らしい面を前面に見せてきました。口調は変わっていませんが、これまでのコミカルな様子とは違い四皇幹部の凄みと現実を突きつけるような発言は強烈な印象でした。だてに懸賞金13億を超えてねえな。

 

 しかしそれすらも一気に吹っ飛ばす最後のコマのビッグマム。あの言い方からして食い煩いでも起こしたのか、相当おしるこを欲しています。ルフィたちが食べてしまいましたが、少しくらい残っていないものか。

 真正面から戦えばクイーンでも勝てないでしょうが、今の彼女は記憶喪失中。剛腕と強靭な肉体はあるものの能力を扱えていないので、食い下がるどころか致命傷与えるくらいまではあるかもしれません。まあクイーンも実力はよくわかっていないんだけどさ。

 

 後半のインパクトが強すぎて、相対的に前半の注目度は下がりますが思ったことはとにかく狂死郎が強い。ゾロも本気を出していないとはいえ、刀で彼とあそこまで張り合えるのはかなり強いですね。オロチの部下の侍が銃を使っているからこそ、刀であれほどの実力を見せる彼はまさにワノ国の侍でしょう。

 さらにサンジを真っ先に狙ってくるドレークも厄介です。飛六砲であり超新星でもある彼は百獣海賊団の主力の一人でしょう。命令とはいえここまでサンジを付け狙うとなれば、決戦時のサンジの相手は彼になるのでしょうか?

 とりあえず今回で麦わらの一味は表立って動けなさそうですが、乱戦中にブルックだけ見えませんね。ホールケーキアイランド編の彼の活躍を考えると、また何かをしている期待がわいてきます。

 ただ今回、一味の件で残念だったのはゾロとサンジのやり取り。あの状況ですからいろいろ話している暇はないのはわかるのですが、せっかくだから何かリアクションかやり取りが欲しかったです。

 ワノ国編の展開に曇りつつ、また次回!

第945話「おリン」 恐竜よりも人間が怖いわ! - ワンピース航海記録