ワンピース航海記録

こちらはワンピースを中心に物語の感想などを扱っているブログです。

第934話「花のヒョウ五郎」 任侠を思い出す男

 934話の感想です。

 扉絵リクエストは「ウソップが鼻の先にとまったオカメインコと話しているところ」です。ここ最近、ほのぼのとした扉絵が多い気がしますね。本編は激動の状態ですが。

第933話「武士の情け」 小紫よりも奴が気になる - ワンピース航海記録

 オロチに物言いしたということで狂四郎にバッサリ斬られた小紫。さらにナミの攻撃でオロチ城はてんやわんやとなりました。一方、記憶を失ったビッグマムはチョッパー達と共にルフィが捕らわれている兎丼へ向かおうとして・・・

常識外のおリンさん

 場所はワノ国の近海、ビッグマム海賊団は船で今後の動きについてペロスペローを中心に考えています。キングが制空権を取っているため、同じことをしてもはじき返される確率が高い上に、マムもいないため行動が制限されているようです。とはいえ、マムのビブルカードは無事なため少なくとも生存は確認できます。そういや、ビブルカードで生存確認できるんだよね。

 しかし敵地で能力者が生きているということは捕まったと考えるのが濃厚。命は後に取られると考えるのが普通でしょう。マムが死んで船長交代などと冗談吹いていると、スムージーが一喝。

「必ず帰って来る!!ママを常識で計るな愚か者共!!」

 まあ、たしかに常識では通じないことになっていますけど・・・。

 

 一方、編笠村では飛徹が細長いものでお玉と連絡を取り合ってました。というのも、これから兎丼に向かうことを報告されたようです。敵拠点のひとつに向かうので飛徹はとにかく反対しますが、けっきょく一方的に切られてしまいます。これは酷い・・・。

 そして切った側のお玉たちは、すでに九里の荒野をワニに乗って爆走しています。ちなみにこのワニはマム(髪型もワノ国ver)が二回殴って手懐けたんだとか・・・こえーよ!!!

 ワニの背中で、地図を使い兎丼の場所を確認する一同。どうやらワノ国は大きな川で六つの地域に区切られているようです。土地ごとに気候も違うとか、小さな大陸みたいな地だな。

 

 マムがちょいちょい腹が減るアピールをする中、モモの助は気合充分に素振りをしています。そして素振り中の掛け声にスナッチと発します。

 さてこれに疑問を抱いたのはお菊。どこで覚えたのかと聞くと、ゾロが心を奮い立たせるときのまじないだと教えたそうです。

 それを聞くと、なぜかお菊はこの言葉を禁止します。モモの助同様に読者も首をひねるその理由は、この言葉は九里の古い方言でも同じものがあり、あまりいい意味でないからだとか。

花魁の死は都を騒がす

 場面は変わって、花の都の北東に位置する鈴後という地域にある墓場。雪が降り積もるこの場所で、ナミ、ロビン、ブルック、しのぶと合流したカン十郎がボロ小屋に入って暖を取っていました。なんとか逃げ切れた彼女らの話題はもっぱら先ほどの小紫が斬られた事件について。20年前は「花のヒョウ五郎」という人物がヤクザの大親分としていたため、狂四郎という人物はここ最近なようです。ちなみにおトコは遊郭に届けたそうですがどうなることやら・・・。

 予想以上に情報を抜き取っていたロビンに、ポーネグリフを見つけていたブルックとそれぞれ情報交換しますが、おトコの安否の確認のために女性組が湯屋へ向かうことになります。

 

 また花の都では、民衆が大騒ぎ!小紫が狂四郎に殺されたことがすでにニュースとなっているたのです。

 その民衆と同じくらい・・・いやそれ以上の涙を流すのはえびす町まで逃げたサンジ。本人曰く、美女の死は世界の損失だとか。ある意味、名言だけど!

 ロビンたちの安否もわからないので、ワノ国版の電伝虫「スマートタニシ」を使おうと進言するウソップ。さっき飛徹とお玉が使っていたのはこれですね。

 さらにルフィの状況を訊くサンジ達。ローは新聞を確認しますが、ここでちょっとしなニュースが。それはキッドが脱獄したというもの。ローはホーキンスとの海賊同盟の件も踏まえて疑問に思う中・・・

「————ところで「湯屋」の場所はわかるか」

「「上の空だろ さっきからてめェ!!!」」

 サンジ、お前レイドスーツをまた使う気やないかい!!

任侠に涙する男

 今回はバンバン場面が変わって、お次は兎丼の囚人採掘場。キッドの脱獄の件でルフィがアルパカマン(アルパカのSMILE)に唾を吐きかけられていました。アルパカの能力って何の役に立つんだ・・・?

 ルフィは少なくともこの件には関わっていないようですが、あちらは聞く耳持たずで嫌がらせをしてきます。

 

 そんな中、囚人たちが何かを止めるような声が。ルフィが声の出どころを見ると、ヒョウじいがたくさんの足を持つギフターズ(サソリのSMILEかな?)にボコボコにされていました。彼はヒョウじいがあまり働けないことをわかっているため、きびダンゴの引換券を大量に持っていることを疑問に思ったようです。

 それについて質問しますが、そんなことはどこ吹く風、ヒョウじいは無視して地面に転がるきびダンゴを口に運びます。これに怒った男はさらに連続で蹴りを打ちこみ、きびダンゴを吐かせるのと同時にこの券をくれた共犯者の名前を問います。

 

 しかしむりくりダンゴを飲み込んだヒョウじいが口にしたのは、死んでも言わないという確固たる意思表示。彼は嬉しかったのです。義を貫き、弱きを助け、強者に屈しない・・・彼の思う“任侠”をルフィは示してくれたのが。そして任侠には任侠で応えるのがその男の誇り。

「久しぶりに・・・腹も心も満たされ候!!———ここは侍の国!!!昔はあんな男達が・・・いっぱいいたんだ!!!お前らがみんな殺しちまった!!!」

 大粒の涙を流しつつ、侍のあり方を話すこの男こそ20年前にヤクザの大親分として名の知れた「花のヒョウ五郎」

 

 もはや勝てずとも最後は意地の抵抗をするヒョウじいもといヒョウ五郎ですが、ここで黙ってみているわけがないのはルフィ。周りの制止も聞かずに、ダッシュでヒョウ五郎の元へ向かいます。

 ジャンピングして男の顔面を狙うルフィ。何者かの悲鳴が響く一方、外では囚人採掘場にひとりの大物が訪問してきました。その人物、大看板のクイーン!

情報が多いのなんのって

 次回以降に大きく絡んできそうな伏線が多かった今回の話。ちょっと多いので順番にやっていきましょう。

 まずはマムを除いて全員無事だったビッグマム海賊団。彼らの会話で出てきたマムとカイドウが元仲間という情報は驚きです。やはりロックスの海賊団で一緒だったということか?これが本格的に触れられるのはだいぶ後になりそうですね。というか、マムの子ども達はみんな知っているのかな?

 彼らの状況について船が転覆しなかったのが偶然だというのには消化不良ですが、その後のペロスペローとダイフクによる船長談義は面白かったですね。ダイフクがカタクリを推しているのが良かったけど、個人的にペロスペローの方が向いている気がします。実際、カタクリは現場指揮官くらいが性に合っていると思うの。まあ、彼らも本気で言ってはいないでしょうが。

 

 お次は飛徹の件。私は前から彼を赤鞘九人男の一人だと思っていましたが、未だに言及されていない状態です。まあ、今回のお玉やお菊の会話やモモの助を様付けで呼ぶので別におかしくはないのですが、ここまで何もないと違うのかとも思ってしまいます。うーん、もどかしい感じ。

 

 次にモモの助の「スナッチ」という掛け声。九里の昔の方言で明確な意味はわかりませんでしたが、お菊的にはモモの助にふさわしくない言葉なようです。九里はおでんがまとめ上げる前は世紀末のような状況だったらしいので、とんでもない意味がありそうです。

 しかしこれを教えたのがゾロというのに違和感があります。こうなると過去に剣を教えたコウシロウやミホークのワノ国の関連を思いつきますが、無理ある伏線の導入だとかそういうことじゃないんです。

 だから何だというんだということなんです。だって現状はちょっと悪い意味の言葉を覚えただけじゃないですか、これ。これが時代を超えて合言葉やメッセージになるようなエピソードに深みを持たせる役割としても微妙じゃないですかねぇ。

 

 今度はブルックの見つけたポーネグリフの件。リオ・ポーネグリフではなかったみたいですが、世界観の情報を知るのには気になるものです。そして気になったのはこれを保管している部屋も。しのぶはこけしがある部屋だと思ったみたいですが、真相は不明です。そもそもこけしもまだ言及されていませんものね。飛徹が美女こけしコレクターとわかったくらいでしょうか。

 美女関連といえば、ナミ達が湯屋に行くようなのでマジでサンジ達と合流する可能性が出てきた気がします。でもサンジが見るのはしのぶの裸な気がするわ。

 

 ラストはキッドの脱獄について。ただし海楼石の錠をつけたままなので戦力を整えるのが難しそうな気もします。まあ、彼の性格的に退くことはないと思うので何かしら行動は起こすでしょう。

 それよりも脱獄についてですが、これを手引きしたのはおそらくキラーでしょう。アプーすら声も出している中、彼だけ音沙汰ないのでどこかに潜んで救出するチャンスをうかがっていたのではないでしょうか。だいたいキッドなんて獄中でも元気でしたし、時間かけても問題なさそうだったしな(笑)

 あとは大穴で姿の見せていないアプーや同じ獄中のカリブーとかもありそうです。

 

 ただやっぱり思ってしまうのは、尾田先生の描きたいものをとにかく詰め込んでいる感があるのでちょっと無駄に多いような気がします。相撲の時くらいの絵的な面があればともかく、単純な情報を出すのは退屈な感じは否めません。今回のチェストの掛け声なんて特に思ってしまった・・・。

 

 それよりも今回のメインとなるヒョウじいの件の方が個人的には面白かったです。正直、彼の涙と表情だけで今のワノ国が昔と大きく変わったのがよくわかります。そしてそこにはびこるのは任侠を忘れた者達・・・彼の言葉を借りるとしたら強者(バカ)ですね。こいつらにすら屈して敗北した彼の心境はいかほどか。

 ヤクザという名目上、おでんとの関係はどうかわからないですが、もし敵対していたとしても互いにリスペクトはありそうですよね。

 個人的に短いながらも

第928話「花魁小紫登場」 ワノ国ナンバー1の女 - ワンピース航海記録

 のときと合わせて考えるとちょっとグッと来てしまいます。というか、伏線や設定過多でちょっと薄れがちですが、本当に心熱くなる演出でした。精神的に弱い時に読むと涙出てくるな、これは。(←実際、泣いていた)

 ところでヒョウじいは狂四郎と違って強そうには見えませんが、頭の回るタイプのヤクザだったのかな?それとも意外と若い頃はバリバリの武闘派だったのかも。

 正直、設定よりももう少しエピソードを重視して欲しいなと思いつつ、また次回!

第935話「QUEEN」 Don't stop you FUNK - ワンピース航海記録