994話の感想です。
表紙連載は「祝砲に揺られて幸せの船は行く」です。家族大好きベッジとしては嬉しいでしょうね。彼はこのまま海賊生活続けるだろうし、超新星の中ではフェードアウトでしょうか。しかし仲間を婚約して合併…ビッグマム海賊団じゃねえか!
第993話「ワノ国の夢」 面倒くせえおでんファン - ワンピース航海記録
ルフィはサンジ、ジンベエと共に屋上を目指してダッシュ!ライブホールはクイーンの疫災で大混乱!一方で赤鞘の猛攻にも耐え忍んだ、いや耐え忍べてしまったカイドウはあっさり復帰。おでんほどの実力を期待し戦ったカイドウですが、その攻撃は彼の期待を遥かに下回るもの。いよいよ四皇の反撃が始まる…!
望む死に様
カイドウのかまいたちは屋上のあらゆる範囲を攻撃します。イヌアラシは他のミンク族を避難させ、錦えもんとイゾウは菊の片腕の処置。斬られた腕の付け根を縛り、錦えもんの炎で止血します。なかなか強引ですが、菊は笑みを浮かべ戦線復帰です。無理すんなよー。
彼の覚悟にはカイドウもご満悦。まさにこの覚悟こそ強者の証。侍もロジャーも白ひげも、彼にとっては何よりも喜ばしい存在だったのです。彼にとって死こそ人の完成する瞬間。この死をどういったものにするかで、その人間の全てが決まるというもの。ではそんな男が目の前に自分よりも弱いながら、強い覚悟を持った存在がいるのならば…
「終わろうか…!!!」
「うぬぼれるなカイドウ 貴様にやられて誉れなどない!!!」
自分の手で終わらせてやろうとするカイドウに、真っ向から啖呵を切る錦えもん。赤鞘の闘志は今なお消えません。
イカれたメンバーを紹介するぜ!
そのころ城内ではルフィ、サンジ、ジンベエのトリオがついに1階まで到達。四皇にも迫りかねない懸賞金の麦わらと元七武海である海峡の名に敵もビビりまくりです。ちなみに黒足は呼ばれませんでした。いやさすがにこの2人と知名度を比べたら劣るよ、サンジくん…。
そんな彼らの前に現れたのは真打ちのハムレットとフォートリックス。どちらも例によってSMILE持ちですが、ハムレットは背中からキリンの頭から下が全部生えている状態、フォートリックスは鶏の尻に頭がある状態です。
「「生え方!!!💢」」
これにはサンジとジンベエも怒りのツッコミアタック!一撃でダウンさせました。2人ともお強い!
そして屋上にも劣らない混乱状況なのは、ライブフロア。クイーンの疫災弾により氷鬼は増殖中、それどころかプレジャーズまで氷鬼化させて連合を襲わせます。敵味方関係なく襲ってくる氷鬼。オロチに組み伏せていた侍組は取り囲まれるわ、味方の大マサ親分も喰らって鬼になっていくわで収拾がつきません。
一味ではチョッパー、ブルック、ロビンが固まって向かってくる氷鬼を角材と剣で遠ざけます。いくらなんでも戦闘中に薬を調合するなど不可能なため、氷鬼を治す術は一見すれば無いように思えますが…
「———だけどここには「兎丼」にはいなかったウイルスを作った“黒幕”がいる!!!」
チョッパーの言う通り、ここには疫災を作ったクイーン本人がいます。ウイルス兵器なんて物騒なものを作るくらいなのですから、当然自分が喰らった時のための抗体を持っているはずなのです。相手は大看板なので奪うのは至難の業となります。
さらにチョッパーが不安に思うのは、この疫災の効果。凶暴性、筋力を強引に引き上げる上に、皮膚を異常冷却。普通に考えればこれで人体が持つはずないのです。そしてその予想は不運にもドンピシャ。クイーンの話では、この疫災は感染すれば約1時間後には確実に命を奪うというのです。
こんな場所にいられるか!と思ったアプーは扉を開けるように指示しますが、そんな彼がクイーンに投げ渡されたのは氷鬼の抗体。
そして拡声器から響くクイーンから出されたのは、彼特有のドエグイ拷問ゲーム!名を「氷鬼in鬼ゴッコ」!アプーの持つ抗体を狙い、麦わらの一味、百獣海賊団、侍、さらに無差別に襲う氷鬼も加わっての、命がけ大規模鬼ごっこの開始です!
「待てクイーン イカレすぎだろてめー!!!」
疫災…怖え!!
光月のために戦う鬼
そしてドーム内右脳でもまた一つの戦いが始まろうとしています。多勢に無勢なヤマトにササキも笑います。
モモの助だけでも逃がそうとするしのぶはヤマトに彼を任せようとしますが、ヤマトは彼女も助けるつもりなのです。20年前の処刑を見ていたヤマトですが、そんな彼女の心を震わせ涙させたのはおでんの死に様と、しのぶの心からの言葉だったのです。あの日、彼女はモモの助を助けるために九里へと向かっていました。しかし所詮は子ども、出来ることもなくただ落とされそうになっているモモの助を見ているだけしかできなかったのです。
あの後悔をもう二度としないためにも、自分が涙した光月家のためにも力のある今は戦うのです。爆発を受けても立ち上がり、敵を金棒で吹っ飛ばすほどの剛腕。そう彼女の名前は…
「ヤマト!!!キミの為に死ねる!!!」
昔のDSソフトみたいなセリフで決めたところで今回は締め!
なんてカオスな要素
面倒とイカレが混在した今回の話。
まず前者ですが、まあ言うまでもなくカイドウのことですね。以前も書きましたが、情緒不安定なメンヘラで海軍の評価通り他の者を強さだけで尊敬される、というのが私的なカイドウへの認識でした。
それが前回と今回でようやくこの男のキャラとしての本質が見えた気がします。死こそ人間の完成、まさにこの言葉通り自分的に理想の死に様を求めていた強者だったんですね。自分以上の強者が見事な死に様をしていくのに憧れたのでしょう。海賊王となり時代を作ったロジャー、世界にその死を見せて時代を激化させた白ひげ、自分より強いのに家臣を守るために最後まで矜持を貫いたおでん…まあ気持ちはわかります。
そんな彼だからこそ、おでんへの勝利は不本意でしかなかったのでしょう。ただ彼もロックス海賊団で卑怯もへったくれもない世界を知っています。今さら自分の生き方を変えられないし、かといってあのおでんの死に様には心打たれ自分もまさに死を花道としようとする…おでんが彼に言っていた“真面目”というのがたしかに当てはまるんですよね。黒ひげやマムなら不意打ち程度じゃ、次の日には酒の席で笑い話にしていそうだもの。趣味の自殺も酔った時の勢いとか、ここで最強生物である自分が死ねば世界も騒ぎになるとかいろいろ予想できるのが面白いです。
その上で私が思ったのは…
面倒くさい真面目なメンヘラ ですね。
いやだって本当に面倒なだけですよ。自分もそうしたいからって世界巻き込んだことしようとするとか、なまじ強い上に自分が納得できないなら逆に相手を倒すくらいですからね。
ただこれはキャラ的にがっかりというわけでは無く、この人間臭さは彼の魅力と捉えられると思います。前回も言いましたが、私はこの類のボスはむしろ好物なので喜ばしいですね。面倒だとは思うけどな!
そして後者のイカレはクイーン様と登場した真打ちですね。クイーンは元々やることはエグイですが、今回は輪をかけて無茶苦茶なエンターテイメントを発動したと思います。敵味方関係なしの疫災攻撃に、それを利用して強力な戦力を地獄のようなエンタメに仕立て上げる…そらこの危険性を考えればカタクリ兄さん超えた懸賞金になるわ。とりあえずゾロ、ドレーク、チョッパーあたりが何とかしてくれるでしょうが、彼は誰が倒すんでしょうね。今回でアプー辺りも離反フラグが出たような…?ローやキッドも今はどこにいるのやらです。
SMILEの方は、もうデザインのイカレ具合が異常です。今回登場した二人とも無茶苦茶すぎます。まだ前回のゴリラの方がマシに思えるレベルですよ!キリンの方はどうやって生活送っているんだ、そもそもまともに戦えるのかというレベルですし、ニワトリは人間体の方が少ないくらいです。こいつらむしろ弱体化しているだろとも思いましたが、酷いデザインだったからこそ努力したのか?
そんなところにスーッと効いたのがラストのヤマトの名乗り。彼女もイカレているだろと思うところは未だにあるのですが、今回は割とカッコよかったのでちょっとグッときました。しのぶをさん付けして助けようとするところや、モモの助に対して無力だったころの自分を謝るところとか彼女なりの想いが詰まっていたと思います。
まだおでんムーブする理由には弱い気もしますが、それほど彼女にとってあの伝説の一時間は衝撃的だったのでしょう。それでもおでんになりきるのは狂っていますが。ただ今回のカイドウを見ると、彼女はおでんになろうとしたのって父親のためなのもあったのかなと思いました。拗れさせるカイドウの心境に、自分がおでんになって慰めようとしたのか、逆に強くなって納得した死に場所を彼に与えようとしたのか…考えすぎですかね。
ようやくヤマトにも慣れてきたところでまた次回!来週は…休載かー!