ワンピース航海記録

こちらはワンピースを中心に物語の感想などを扱っているブログです。

第1044話「解放の戦士」 笑えや笑え

 第1044話の感想です。

 表紙連載は「ママは遠征。研究開始!!」です。ジェルマの科学力を調べるために彼らの存在はうってつけですものね。解剖も研究だし…。

第1043話「一緒に死のうよ!!!」 この引きはズルいわぁ…! - ワンピース航海記録

 

 ルフィを倒したカイドウは城内に戻り、文字通りの大暴れ!四皇としてまだまだ格の違いを見せつけます。そんな中、ズニーシャはモモの助にジョイボーイの復活を宣言して…。

笑う伝説

 どこからか鳴り響くドラムの音の中、ルフィは身体から覇気を放出しながら敗けたはずの自分が立てることに疑問を持ちます。

「楽しくなってきた…アハハハハ!!」

 笑いまで起こすルフィの変化に、覇気を使うメンバーも彼を感知したのか不思議そうに上を見ます。

 一方その頃、聖地マリージョアは五老星が会話中。CP0最高峰のひとりを失って、カイドウを怒らせては世界が激化されるだけのように思えますが、彼らからすればまだそちらの方がマシだとか。

 彼らがそこまで懸念する最大の理由は、ゴムゴムの実の覚醒。なんでもこの悪魔の実は800年もの間、世界政府が回収できなかったもの。ただこれ自体は、ありえない話でも無いというのです。というのも、ゾオン系の悪魔の実には意思が宿っているというのです。…ん?ゾオン系?

 なんとゴムゴムの実には、もうひとつの名前があるのだとか。それはゾオン系「ヒトヒトの実 幻獣種モデル“ニカ”」。体自体がゴムの性質を持ち、その空想のままに戦う姿は人々を笑顔にしたといいます。その存在には「解放の戦士」「太陽の神ニカ」といった2つ名があり、覚醒の効果はこのゴムの体に“腕力”“自由”を与えるのだとか。

「世界で最もふざけた能力だと聞いている…!!」

その涙が意味するもの

 一方、2階の宝物殿では小紫の正体が日和であると知ったオロチが必死で命乞いをしています。おでんへの好意、カイドウに利用されたこと…しかしどれだけ彼が言葉を紡いでも、多くの恩ある侍たちを無下にして、父であるおでんの約束を信じた5年間と最後の決死の1時間を知る彼女が、その言葉を肯定できるわけがありません。どれだけ嘲られても、笑顔を絶やさずに共にいた父を…

「私の名は「光月日和」!!!口を慎め無礼者!!!」

 面が取れて、大粒の涙をこぼしながら彼女はオロチに一喝!その勢いに彼は完全に怯みます。

 そこにもはや僅かな炎となったカン十郎が登場。オロチがまたもや彼に役を与えますが、もはや行き所を失ったような彼はオロチにすがりつき、彼ごとその身体を燃やします。

「「光月」は…約束を果たす一族!!」

 ならば必ず夜明けも来る…!

ギアをひとつ上げよう

 一方、光る満月をバックにルフィは相変わらず面白そうな様子。湧き出る力に全てできると確信した彼は、今の自分の状況にひとつの名前をつけます。

「これがおれの最高地点だ…!!これだ…!!!“ギア5”!!!」

 城の天井が再び割れると、覇王色の覇気に百獣海賊団がどんどん倒れます。なにかが屋上にいることに気づいたカイドウは警戒を強めますが…。

 突如、彼の体をむんずと掴むほどの巨大な腕が現れます。そのままカイドウを引っこ抜くように上げると、その巨体をジャイアントスイングして頭を叩きつけました。

 とはいえ、このままやられるカイドウじゃありません。むしろルフィが生きていたことに歓喜しつつ、“熱息”を発射!向かってくる攻撃に目を飛び出させますが、ゴム状にした床を持ち上げて、カイドウの攻撃を弾力ではじき返しました!

 笑いが止まらないルフィに、カイドウは満足そうに先ほどの戦いで勝ちにしたくなかったことを詫びます。

「気にすんな!!決着つけよう!!!」

ルフィの最高状態

 さらにひとつの段階を上げたルフィの登場となった今回の話。長いワンピースの中でもかなり衝撃的な内容であるのは間違いありません。

 その最大の要因は、ルフィの新たな力。彼は「ギア5」と名付けたゴムゴムの実の覚醒は、五老星も言っていたようにかなりふざけていながら相応の強さを見せてくれました。他の悪魔の実でもあった別のものをその物質に変化させることに加えて、カイドウの巨体を掴むほどの大きさとそれをぶん回すパワーとでたらめな強さでした。

 これはあれですかね、いわゆるカートゥーン的な能力でしょうか。ルフィも敵対するカイドウもトム&ジェリーのように目を飛び出させる描写をしたり、ポパイのように強引な腕力で投げ飛ばしたり…ゴムの体と腕力でギャグ時空的なことを可能にするものでしょうか。五老星の言うようにふざけていますし、まさにゴムのごとき自由性を持つものだと思います。笑い楽しむ男…まさにジョイボーイですね。

 そして驚くべきは、ゴムゴムの実にはもうひとつゾオン系という側面もあるということでした。まさかの2種類の特性を持つ悪魔の実という異質性、長年の主人公の能力の秘密は読者を非常に驚かせるものでしたね。しかも神様の能力ときたものだ。

 ただこの名前って、五老星の以前のセリフを踏まえると後天的につけられたものですよね。それが意味することは、やはり政府がその存在を特別視していたということでしょうか。

 さらっと言ってましたけど、ゾオン系には意思が宿るというのはこれまた衝撃的な設定でしたね。ただ確かにこの理屈でいくと物に悪魔の実を食わせると本当に生き物のようになること、チョッパーの暴走や獄卒獣の意識のおかしさなど説明がつくんですよね。これを踏まえると、シーザーのSMILEもゾオン系ばかりであることに説明がつきます。もしかしてベガパンクがモモの助の悪魔の実を失敗としたのは、ゾオン系なのに意識が無いからでしょうか。はたまたそれとは逆でカイドウの意識が残ったとか…。

 そして当然ゴムゴムの実もゾオン系としての側面を持つため、意識があるように政府からの手を逃れてきました。これを踏まえると、やはり世界政府とニカは敵対しているようにも思えます。

 かつてクローバー博士は謎の王国の存在と思想こそが世界政府の敵となると話していました。思えば、ニカの名前はフーズ・フーの話を踏まえると驚くほど秘匿されているような印象です。つまりニカという神の存在こそが政府や天竜人にとって危険だったのではないでしょうか。神を語る彼らからすれば、別の宗教の神とかまさに天敵でしょう。解放の戦士とか尚更です。名前だけ消えて、太陽神の信仰だけ残ったとかもありそうですね。

 ところでジョイボーイとニカってどちらが先だったのでしょうか?私はズニーシャの発言も踏まえると、ジョイボーイはやはり称号のように思いましたが、見方を変えるとジョイボーイの意識がゴムゴムの実にあるようにも考えられるのが…。

 しかしこれを思うと、イム様が警戒しているルフィ以外の黒ひげも怪しくなってきました。これってヤミヤミの実かグラグラの実も別名とか持っているのでは…?

 さて私にしては珍しく考察を中心にした書き方をしましたが、この展開はかなり賛否両論になると思います。個人的にはかなり面白いと感じました。以前、尾田先生が主人公能力を出来るだけふざけたものにしたかったとか、ラフテルでのロジャー海賊団の反応を見ると、この能力と戦い方にはかなり肯定的です。デザインも悪魔の実と風神を掛け合わせた見た目は、カッコいいとはいきませんがなかなか秀逸なデザインでお気に入りです。

 ただ不満点もあります。それは「ニカ」の名前がやはりぽっと出に感じることですね。この名前が出たのがフーズ・フーの発言からなので、もう少し匂わせるようなものがあっても良かったと思います。いや恐らく私が上に書いたように徹底的に隠されていたことを踏まえれば、おかしくはないんですけどね。

 これのおかげであまり語られない印象ですが、個人的に日和のパートはかなり良かったですね。あの泣き顔がかなり迫力があって、まさに積年の恨みが一気に噴き出したかのような印象でした。

 またオロチの散り様が、おでん同様に火で散っていくのも一種の美しさすら感じます。しかも復讐の火によって…。日和に対してコロコロと変わる命乞いも最後まで良い意味で小物っぷりを見せてくれました。そういえばカン十郎の末路は、オロチに最後まで寄り添い、同時におでんの家臣として彼を討ったようにも見えるのが素晴らしいです。空っぽである彼も最後まで見事な侍だったか…。

 ちょっと来週のバトルが楽しみで仕方ないと思いつつ、また次回!

第1045話「NEXT LEVEL」 新たなギアの戦い方 - ワンピース航海記録