ワンピース航海記録

こちらはワンピースを中心に物語の感想などを扱っているブログです。

第952話「日和と河松」 牛鬼丸は何者?

 952話の感想です。

 表紙連載は「妻の願いはおれの願い」です。ベッジのいい旦那っぷりに笑います。政略結婚とはいえ、この二人はかなり上手くいっていますよね。

第951話「RAMPAGE」 化け物と化け物がぶつかるんだよ! - ワンピース航海記録

 

 前回、反逆の準備が進んでいく中で鬼ヶ島ではついにカイドウとマムが激突。天をも割るつばぜり合いは読者に衝撃を与えました。互いの陣営ともに火祭りの日まで騒がしい様子ですが…

割り込む河童、逃げたい恐竜

 冒頭、いきなりおいはぎ橋ではゾロが牛鬼丸を見事に無力化していました。剣術ではゾロの方が圧倒的のようです。とりあえず倒れた牛鬼丸に向かって、何者なのか、武器をなぜ集めるかを問うゾロ。読者としてもここが特に気になります。

 しかし牛鬼丸が主張するのは頑なに秋水は返さないということだけ。彼は秋水を盗まれたことがワノ国の刀神様の怒りを買って、それにより各里が敗北し続けて国が支配されるまでになったと考えます。

 しかし神を信じないゾロからすればそんなこと知ったことではありません。再びぶつかり合おうとしますが、そこに待ったをかける者が現れます。

「カッパッパッパ!!こんな片田舎で侍と坊主が何を争うておるのだ!!」

 現れたのは用があるといって兎丼から抜け出してきた河童の河松。彼らの喧嘩を殺意なしとして一笑します。陰から見ていた日和は恩人の登場に驚き、河松も自分を知る女性に驚きを見せます。ゾロはゾロで魚人かと思ったりと各々反応を見せますが、牛鬼丸の方も何か気づいた様子で…

 

 場面は変わって鬼ヶ島。百獣海賊団はカイドウとマムの夜通しの喧嘩にすっかり恐怖し、本土へ逃げようかと考えます。

 そこで部下を叱責するのはクイーン。ボスが戦っているのに逃げるなんて言語道断との雰囲気ですが、当の本人は兎丼を確認するという名目で逃げたくてしょうがないようです。

 そんな中、兎丼にいるババヌキから連絡が入ります。部下を引き連れて向かおうかなど提案するも、あっさり断ってきました。クイーンとしては嘘でも本土へ向かう口実が欲しいんですけどねぇ。

「————では「異常なし」のご報告まで…」

「異常あれ」

「クイーン様っ!!」

 クイーン様、仮にも最高幹部なんだから鬼ヶ島にはいましょうよ!

上々の成果

 今度は兎丼に場面チェンジ。なんと先ほどのババヌキはお玉のきびだんごですっかり寝返っていたのです。ダウンしていたのに不審な連絡できたのはチョッパーとお玉のおかげですか。

 さらに囚人のウイルスの方もチョッパーのおかげですっかり回復していました。もちろんそれはルフィも同様で、囚人たちの前でやる気を見せています。

 そんな様子を見ていたヒョウ五郎に声をかける者たちが。どことなく異様な出で立ちの四人は各郷のヤクザの親分でした。兎丼「血文字の大マサ」、白舞「破れ笠の綱ゴロー」、鈴後「夕顔のお蝶」、希美「蛇の目の弥太っぺ」は現れるなり、各地の反逆者たちを集めてくると言います。

 なかなか頼もしい連中ですが、ヤクザであるためその言動にはどことなく危ない雰囲気もある彼ら。笑いながらちょっとヒョウ五郎が偉そうと言ったルフィに爪ハギ、指切り、耳ちぎりを提案してすぐにでも実行しようかのような雰囲気を見せます。ひと昔前の任侠映画でしか聞かんぞ、そんなワード!

 

 お次はアシュラ童子が集めた廃船がある九里の廃港の伊達港。錦えもんが驚きの声を上げていました。それもそのはず、なんとフランキーが探していたカイドウの屋敷図をアシュラ童子が持っていたのです。おかげで戦略をより練りやすくなります。

 さらにここで雷ぞうから連絡が。ルフィ救出どころか敵地を一つ占拠して新たな同士を三千五百人、加えて大戦力である河松まで救出するという大戦果の報告に、先ほどとは比較にならない驚きを見せました。ハイリスクハイリターンのリターンがデカすぎるわな、これは。

 しかし上手くいきながらも問題がないわけではありません。それは武器の件。カイドウ達が作っている武器は他国へ輸出するための兵器がほとんであるので、同士である兵士たちが使うような刀剣や槍がまったく足りません。ヤクザの親分たちがさらに同士を募ることを考えると、膨大な数が必要となります。

 とりあえずこの問題は保留気味に、錦えもんは網笠村を拠点としてそちらへ向かっていきました。

橋での再会に無粋者

 場面は再びおいはぎ橋に。ゾロと牛鬼丸の対決そっちのけで、日和と河松は感動の再会をしていました。どうも話では日和は河松から逃げ出したようですが、その理由は食料を彼女に分けてどんどん痩せていく河松を見ておけなかったのだとか。

 とはいえ、河松からすればそんなことは些細なこと。彼が最も安心したのは彼女が活きていたことなのですから。イケメンならぬイケ河童です。見た目は可愛いけど。

 先日のゾロと鎌ぞうの勝負には横槍を入れていた牛鬼丸も今回ばかりは何もしてきません。しかし二人の光景には何か思うことがあるようで…。

 

 しかしここで突然現れた百獣海賊団の銃弾をくらう牛鬼丸。どうも彼は百獣海賊団からも武器を奪っていたようで、復讐に猛獣用の弾丸を撃ち込まれたのです。体格考えれば過剰でもないような気がするわ。

 基本ヒャッハーな面もある百獣海賊団。共にいる見知らぬ人物は牛鬼丸の仲間認定です。撃ち殺す気満々で仕掛けてきますが、そこは麦わらの主戦力と赤鞘九人男のひとり。まったくひるまずになぎ倒していきます。

 一方で牛鬼丸は再び撤退。息を切らしながら口にした言葉はなんと安心の言葉だったのです。

「河松様…!!よかった…!!!ご無事であられた…!!!」

問題が問題にならなさそう

 大きな進展はなく、討ち入りの準備が整っていくことがわかる今回の話。

 メインでもある日和と河松の再会ですが、この二人の劇的なドラマをそこまで詳しく知っているわけではないので良かったなぁという感想程度が限界です。たぶん、過去編でおでん達がカイドウとオロチにどれほど無残にやられたのかがわかればもっと反応のしようがあると思うのですが今の段階ではなぁ。日和と河松にそこまで感情移入しようにもこの二人の悲惨さが想像はできても察せられるような描写も乏しいので、まだよくわかっていないため反応に困るというのが本音です。河松とかは現時点でも好きなキャラなんですけどねぇ…。ここらへんは読み返して感慨深くなれることを期待したいですね。

 

 そしてラストの牛鬼丸の反応を見ると、どうも彼は河松関係の人物なようですね。ありえそうなのは直属の部下でしょうが、だったら河松がもう少し反応を見せてもいいような気もしますが。

 武器集めの目的はやはりいざという時に使えるようにしたかったのでしょうか?それとも今回の刀神の話のように僧侶として信仰深い面から武器を集めて刀神の怒りを鎮めようとか考えたのかもしれません。

 とにかく次回あたりから、ようやくこの男の真意を知ることが出来そうです。

 

 また新キャラとして捕まっていた各地の親分たちが登場。表情や風体がなかなか特殊といいますか、味方になるには少し珍しい雰囲気のキャラでした。昔ながらの映画であるような任侠気質で反応が面倒な点こそあるものの、すぐにでも動くあたりはなかなか頼もしいです。しかし彼らに決戦の見せ場はないだろうなぁ。期待もしていないからいいけどさ。

 でも個人的に綱ゴローのデザインは好きです。というか、彼が以前マムの兎丼での暴れていた時にいたシルエットの人物ですね。

 

 今回の話を読んでいて全体的に思うのはちょっと上手くいきすぎて危機感を全く感じられないことですね。このままいけばあらゆる面で作戦の戦力が整う上に、まだ解決できていない武器はおそらく牛鬼丸が協力してくれるでしょう。キッドやローの件もあるから援軍まで見込めます。さらにSMILE持ちも今回のようにお玉でどうにかなってしまうと考えるとなんだかなぁ。

 災害もジャックとアシュラが同等だと考えると、カイドウを除けば赤鞘九人男総出で抑えられそうな気がしてしょうがないのです。キングは空飛んでいるし、まだ底が見えないので怖いですが。

 もっとこう…カイドウ以外で危機感が欲しい!上手くいっていることは嬉しいのですが、読者が面白くハラハラするような展開が欲しいのです。ワガママかなぁ…。いっそのこと、カイドウがマムと組んでくれれば絶望が…今度は攻略の難易度がずば抜けて上がってしまいますな。

 

 ただキャラ関係はかなり好きですね。ワノ国から登場した赤鞘九人男のメンバーはかなりキャラが立っていると思いますし、敵サイドでもクイーンのような憎めないキャラからキングのような一貫した強者は見ていてとても面白いです。

 しかし今回もクイーン様はいいキャラしていたな。最高幹部であんな言動するコミカル性から敵としての悪役ムーブもできるいいキャラです。惜しむべきはいまいち実力のすごさが描写されていない印象を受けることでしょうか。マムの一件はともかく、今回でチョッパーにウイルスをあっさり攻略されたのもな…。いやチョッパーが凄いだけだと思うのだけれど!

 面白い点と煮え切らない点で消化できない気分になりつつ、また次回!

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