1155話の感想です。
今週はカラー扉絵。カラフルな街並みに空飛ぶペンギンたちと一緒に、一味が散策中です。制作過程の動画を見ましたけど、けっこう描き直していましたね。色合いが気持ちよくて、好みのイラストです。
第1154話「死ねもしねェ」 凶悪が来る - ワンピース航海記録
エルバフを襲った飢饉は、ハラルドの交易のおかげで乗り越えることに成功。これを機に他国との交流をますます深めようとする中、ハイルディンとロキの仲は険悪でした。すでに愛情を諦めていたロキは暴れても埋まらない心の隙間に涙します。冥府へと投身自殺をしても死ねないほどの屈強な肉体、そんな彼の元にいずれ世界を大混乱へと陥れる男、ロックスが現れて…
悪事の皮切り
前回ロックスはハラルドがいるかを問いますが、ロキは初めて見た人間族に驚きつつ遠征中で不在だと答えます。会話の中で彼がハラルドの息子であると知ったロックスは、息子が大怪我したから戻ってくるように打診しろと命じました。父がその程度で帰ってくるはずはないし、初対面でしかも弱いと思われる人間族の命令にロキは苛立ちますが…
ロックスはサーベルを抜くと覇気を込めて攻撃。彼の剣術はハンマーや砲弾のようにあらゆるものを吹き飛ばすと有名であり、ロキは脚に殴打を受けたようなダメージを食らいます。
「ヴォハハハ ホラ見ろ大変だ!!ロキが大ケガをした!!!」
こんな無茶苦茶な男がハラルドと出会ったのはレヴェリーのあった年。なんと5人もの王が誘拐にあったのだとか。
とはいえ、下々の王の命などイムからすれば気にも留めません。ただ問題なのは、本来イムや配下しかいないはずのマリージョア最深部である花の園に、ひとりの男が来ていたこと。表沙汰にされてはいませんが、なんとロックスがそこに来てイムと話していたのです。自身を伝説の海賊デービー・ジョーンズの崇拝者と名乗ったロックスですが、その場では何もできないことを理解していました。ただ彼はイムに宣戦布告とも取れる言葉を残します。
「おれは戻って来るぜ…!!!ここへ!!!」
さて場面は変わって、マリージョア内ではハラルドが燃えながら全速力で逃げていました。どうやらこのレヴェリーの年がハラルドが兵士として侵入していた時のようです。世界中の国王が集まる場で潜入したら狙われるのは当然ですが、むしろ天竜人から奴隷として狙われているようです。しかもタイミング的に王族の誘拐事件の主犯とも思われている様子。
すると反対側から海軍大将を倒した後のロックスも走ってきます。ちょうど風体から誘拐犯だと察したハラルドは代わりにとっ捕まえようと剣を取ります。対するロックスも巨人族がマリージョアに驚きつつも抜刀。
覇気を宿した強力な一撃は、武器が触れずに直径5kmにいた人たちを吹き飛ばすほどの衝撃を生みました。どっちも化け物だ…!
互いに名乗ったところで、ロックスは街側に狙いをつけるように指示。捕まれば奴隷にされる状況でもあるので、2人は剣を交えてマリージョアから逃げていきました。
誘拐事件、大将殺害という大罪を機にロックスは懸賞金をかけられます。ここから時を経て、天上金を乗せた船を襲撃した上に正義の門を破壊するという暴挙も行って彼の悪名は止まることを知りません。
これほど政府相手に悪辣な動きを取っていた彼ですが、次の標的はなんと海賊。デービーバックファイトを利用して、めぼしい実力者を次々と引き込んだのです。もっともこの時点では海賊旗は上げずに、あくまでも悪党の集まりとしかいなかったようですが…。
力の勧誘
そんな彼らが今回たどり着いたのがエルバフ。ロキの知らせを受けて帰ってきたハラルドは、彼のお見舞いを済ませると今度はロックスたちに会いに行きます。
会うなりロックスが行ったのは、ハラルドの勧誘。彼の実力や政府がエルバフの要求を吞まなかったことを踏まえて、自分たちと組もうと来たのです。
しかしハラルドからすれば、悪名轟かせる彼と組めば他国との信頼を失うことも確実。これほど無茶苦茶な男と一緒にいれば、破滅へと向かうと他のメンバーたちも心配します。
メンバーの悪党は多種多様。極道である“シキ”、科学強盗“ミス・バッキン”、西の海でギャングをやっている“首領・マーロン”に加え、海賊でも多岐に渡っています。後の白ひげである海賊“エドワード・ニューゲート”に加え、海賊教祖という宗教のような肩書を持つ“王直”、密輸海賊“ガンズイ”と様々です。
一行はハラルドの心配もどこ吹く風といった様子であり、ロックスがいなくなろうが全員が自立しているので瓦解などありえないと言います。彼らが興味あるのは、ロックスが持ち込んできた計画と儲け話。通称“海賊島”と呼ばれるハチノスという島があり、そこは監獄でも手に余るような凶悪犯罪者が島流しされる場所でした。食料もない死の島でしたが、なんと近年になって金鉱脈が発見されたのです。生き残った悪党たちは徒党を組み、さらに闇の組織達の援助もあって巨万の富を築いたのだとか。政府も怒り心頭なものの、奪おうものなら屈強な犯罪者集団によって返り討ちに会う始末です。
そこでロックスは政府に金を貰ったら海賊島を奪い返すと持ちかけました。これだけならば傭兵業という感じですが、彼の狙いはここから。金を貰い海賊島を奪うものの、島や罪人は渡さずにそのまま自分が支配して海賊の楽園を作ろうというのです。そして島を拠点にして、マリージョアを陥落し世界の王になろうと目論見ます。さすがに世界相手に戦うなど不可能だとハラルドは思いますが…
「永遠に続く権力などこの世にゃねェんだ!!!行こうぜハラルド!!おれとお前が組めば無敵だ!!!」
世界を獲るという、この絶対的な自信ある発言!ハラルドは響かなかったようですが、こっそりと覗いていたロキは憧れて…。
そして4年間、何度も行ったハラルドの勧誘こそできなかったロックスですが、ついに作戦を決行し…!
世界を獲る目論見
ロックスについて掘り下げがあった今回の話。電子版は昨日から公開されていましたね。
ロキの回想ではあるのですが、メインはやはりロックスでしょう。前回触れられた大将殺しや誘拐事件について詳細に描写されました。驚くべきはイムにも会っていたということ。存在自体がトップシークレットな人物相手をどうやって知ったか、会いに行ったかは謎ですが、この時点で宣戦布告までやってのけました。しかもこの時点では仲間集めすら行っていないので、単独犯の可能性もあるわけです。それで大将を殺害し、王を5人も誘拐し、マリージョア最深部に行ってとフィジカルや覇気だけではどうにもならないだろうというほどのスペックです。とはいっても、覇気も強力で覇王色をまとう一撃も使っていましたけどね。
初犯からすさまじい彼ですが、ここから次は天上金を奪って正義の門を破壊するという政府に中指立てるような行動に加え、懐かしのデービーバックファイトにて仲間集めときました。やはりというべきか、この方法で初期の仲間は集めていたんですね。というか、描写を見る限りあの3つの種目は固定だったんですかね?グローブで殴りつけるロックスが絵的に面白くて個人的に好きです。
そんな彼と一瞬ながらも張り合うほどの実力を見せたのはハラルド。武器が触れないつばぜり合いを見るところ、彼もまた覇王色の覇気を纏うことができるようですね。しかもそのままレッドラインからの飛び降りで逃走って…。これは想像以上の実力者でしたし、これが出来るほどなら若い頃にエルバフ以外の巨人をつまらなく思うのも納得です。ドリー&ブロギーも超えているんじゃないか…?
ロックスはそんな彼を仲間として勧誘。エルバフの王としての立場やそもそもロックスの方針とは違うため断り続けていたようですが、ものすごく仲悪いって感じじゃないですね。いやロックスの前評判を思えば、もっと残虐非道なイメージだったので。まあ、互いに実力を認めていますし死地を乗り越えた同士でもありますからね。それにロックスがイカレているのは間違いないですし。
仲間と言えば、ロックス海賊団の前身となる初期メンバーも登場。前回映っていた白ひげ、シキ、バッキンに加えて3人追加されています。こっちもあんまり仲悪い印象じゃないですね。ただ利害の一致があるという感じでしょう。やっぱりティーチのスタンスと同じなんですよね。
その中でもやはり気になったのは王直。後に海賊島を支配し、ティーチに敗れることが判明している彼ですが、海賊教祖という妙な肩書が入っています。宗教を否定はしませんが、海賊と宗教って胡散臭すぎるのよ…。しかしこれって王直が名前なんですかね?まあ、教祖なんて肩書なので本名隠して自分で名乗っているだけかもしれませんが。同時に驚いたのはそのヴィジュアル。最初は胡散臭い見た目しているなとしか思わなかったのですが、よく見るとカリブーやコリブ―と似ています。あの兄弟足して割れば、ちょうどこんな見た目になるんじゃないでしょうか。もしかしてカリブー兄弟は王直の息子で、ティーチに憧れたのもロッキーポート事件がきっかけだったのでは…。思い返せば初登場時、カリブーは祈りをささげるような言動をしていましたし。
他の2人はマフィアと密輸海賊という肩書持ち。マフィアのマーロンはクリークのような首領という言葉が入っています。そんな彼は西の海のマフィアときました。以前、ジンベエがベッジの説明をする際に西の海には五大マフィアがいるとか話していたので、その中の一人か体制を作り上げた人物と思えますね。そうなると名前の由来は俳優のマーロン・ブランドでしょうか?
密輸海賊ガンズイは…よくわかりませんね。ゴツイ体格に鎧を身につけていますが、肩書とサングラスをかけた顔からこれまた胡散臭い雰囲気があります。現代では特に名前を残しているわけではなさそうです。ロックス海賊団は仲間殺しもありえる集団なので、彼やマーロンはどこかでやられた可能性はありますが。ただ他の感想を見ていると、彼も死体をモリアに回収されているという内容がありました。言われてみれば、将軍ゾンビの鎧被ったやつがそう見えるような…?
いずれにせよ、全員が粒ぞろいな集団。ここからマム、カイドウ、キャプテン・ジョン、グロリオーサ、シュトロイゼンなども加入するのですからとんでもない化け物集団です。
そんな彼らが集まったきっかけには、海賊島の金鉱脈ときました。センゴクが話していた儲け話ってこれのことでしょうね。
もっともロックスとしては、それはあくまで取っ掛かりであり最終的には自分が世界の王として君臨することを目論見ます。マリージョアでの戻って来る宣言といい、現在のティーチのやり方と酷似していると言い、息子の彼がロックスの夢を継いでいるのは間違いないようですね。正直、今回の宣言のおかげで作中的には君臨するイムよりもティーチの方がラスボスとして格ができたような…。
併せて気になったのは、この場面にいた女性。女性の方は特徴的なオッドアイですが、これって軍子ですかね?もしかしてイムって依り代になる好みの女性を何人か攫っているのでしょうか?ビビが欲しいとか言ってましたし。あの人、どんどん支配的な面見えてくる…。
ほとんどロックスがメインでしたが、ちょこっと描写されたロキも印象的でした。愛を諦めた世界をぶっ壊して自分が獲るといったロックスには、たしかにある種の憧れが生まれてもおかしくありません。ナレーションで救われたとまで描かれていますし。ルフィがシャンクスに憧れた方向性とは違う印象ですけどね。
併せてハラルドが帰ってきてくれたことに、ちょっと嬉しそうなロキも可愛かったです。お前も愛されていることに気づくんだよ!しかしそれを実感するほどに、未来でハラルドを殺すことになるのも…。今回、ロックスがハラルドに戦いの血が滾っているとか言ってましたが、ロキが見た黒い姿の父も踏まえると何かしらでイムの悪魔化を受けて暴虐的になった彼をロキは止めようとしたんじゃ…。
ロキの救われた姿にもちょっと安心しましたが、やはり今回はロックスの描写が強烈です。己をデービージョーンズの信奉者と名乗っていたのも印象的でした。当初はデービーバックファイトの元ネタとなっているだけの伝説的海賊という印象でしたが、ここにきて気になる人物となりました。この世で最初の海賊と言われるジョイボーイ以外の明確な昔の人物なのです。元ネタ的にも特別な海賊として扱われてもおかしくありません。
伝説の存在達にロキ並みにドキドキしながらもまた次回!ここで休載は生殺しですよ!