ワンピース航海記録

こちらはワンピースを中心に物語の感想などを扱っているブログです。

第971話「釜茹での刑」 始まるのは伝説の一時間

 971話の感想です。

 表紙連載は「がんばれゴッティ!お前しかいない!!」です。気がつけば彼が主役みたいなノリになっています。言っても彼はモブじゃない一戦闘員程度だしなぁ…。

第970話「おでんVSカイドウ」 いざ激突! - ワンピース航海記録

 

 ついに相対したおでんとカイドウ。奇襲は情報漏れによって失敗しましたがおでんと赤鞘九人男、しのぶのメンバーの奮闘は数で勝る百獣海賊団をものともしません。ついにはおでんの攻撃でカイドウを追い詰めますが、ババアの横やりで逆に敗北。投獄されたおでん達に言い渡されるのは釜茹でによる処刑宣告で…。

ついに始まる公開処刑

 冒頭はおでん城に残るトキ、モモの助、日和たち。ちょうど食事をするところでしたがまずは家臣のひとりが毒見をしています。命を狙われていることを知るモモの助ですがなぜ標的になっているのかをトキに問います。

「父上が偉大で…あなたはいつかこの国を背負って立つ男だからよ」

 モモの助だって理解しているのです。その言葉が何を意味するのかを。そしてこの日、自分の大事な父親がどうなるかも…。そりゃ涙だってこぼれますわ。

 

 場面は変わって花の都。おでん達の目の前には大量の油が入った巨大な釜!中の油もぐつぐつと煮えたぎっています。公開処刑ということでカイドウとオロチはもちろん民も物珍しさから処刑場に急ぎます。

 これから処刑開始というところでおでんは立ち止まりカイドウの方を向きます。

「チャンスが欲しい!!おれは生きねばならない」

 そんなおでんの発言に空気を読まないオロチの部下がここで足を滑らせて鍋の中に!その油の熱量は見た目以上であっという間に体は燃え盛ります。なんとか鍋から出るも数歩歩けば干からびた死体へ。男塾の濃硫酸プールを思い出します。

地獄を耐えるひとり

 これに気にせずおでんが提示した案は全員で釜に入ってカイドウ達が決めた時間まで一人でも耐えていれば皆を解放するというもの。先ほどの人のように本来ならば一瞬で終わる刑ですが、カイドウは一時間設けます。これを耐えれば解放するとのことですが…。

 ということで先陣を切ったおでん。さすがの彼も入った瞬間に強烈な声を上げました。とんでもない苦しみだろ、これは…。

 さて主君に続けと錦えもん達も入ろうとする中、おでんはそのまま橋板に乗っていることを指示します。ここでおでん、なんと赤鞘の9人が乗る橋板を持ってそのまま釜茹でを喰らっているではありませんか!これには普段から支えている家臣たちも驚きの表情。どうやらおでんは今度は自分が代わりに支えてこの刑を乗り切るつもりなようです。

 約4分ほどですがおでんはふらつきながらも耐えて、家臣たちはおでんを気遣い、オロチたちは高笑いと何ともカオスな状況です。一方で民の方は悲鳴なども聞こえずじりじりと時間が過ぎるだけのこの処刑に飽きていました。中には相も変わらずおでんをバカ殿と揶揄する人物もいますが…。

「誰がバカ殿だ!!!もう一度言ったら殺してやる!!!」

 ここで堪忍袋の緒が切れたのは処刑を見守っていたしのぶ。あの時、おでんとオロチの取引を見ていた彼女は事の真相を涙ながらに話し始めます。

国を滅ぼしたいのと守りたいの

 そもそもこの苦しい現状を作り上げたのはオロチですが、彼は別に人の上に立つのが目的ではなかったのです。

「おれが「将軍」の座についたのは!!この国を滅ぼす為だ!!!復讐する為だ!!!」

 かつて黒炭家が他の大名を暗殺したせいでお家は断絶。元凶となった彼の祖父は罪人として切腹しましたが、これは致し方ないこととしてオロチも受け入れてました。しかし黒炭家というこの名前が彼の不幸の発端となり、この名がつくだけで民衆に正義の名の下に虐げられてきました。ある者は殴られ、ある者は川へ投げ込まれ、彼の親族は黒炭の名を持つだけで次々と殺されていったのです。幼い頃の彼からすれば何もしていないのに殺されそうになる危険で恐ろしい状況、夜も眠れません。だからこそ彼は将軍となってワノ国の民全てに復讐を誓ったのです。自分同様に何もしていなかろうが、彼にとっては自分を虐げたワノ国の人間なのだから復讐されてしかるべきだと。

 

 さらにあの時、オロチが奥の部屋から出したのはカイドウへの貢ぎ物であった大量の武器と誘拐された人々。武器はどうでもいいですが、カイドウにこの人たちが引き渡されればまともな人生を送ることなど不可能。あの日、おでんがカイドウと戦っている中でオロチが持ち掛けた密約は黒炭家への謝罪の意味を込めた裸踊りを毎週行うことだったのです。一回踊るだけで100人の命を助けることになっており、さらには5年後に船が完成したらワノ国まで出て行くというではありませんか。

 おでんはこの裸踊りの際に各郷へ出向いて変わったことはないかと調べることまで。いわば彼はこの5年間たった一人でワノ国の民衆を守っていたのです。

「おでん様はずっとこの国を守り続けてたんだ!!!誰がバカ殿だ!?言ってみろ!!!」

 おどけていた男の真実と気合の我慢で今回は終わりです!

おでんもオロチもすげえよ

 まずは仕事で更新が遅れて申し訳ありませんでした。ぶっちゃけ次回も遅れると思います。

 しかし私の謝罪などどうでもよし!ということでおでんの密約ととんでも釜茹での刑が実施された今回の話でした。

 しのぶが語ったおでんとオロチの約束ですが、まあ大方の予想通りでしたね。むしろこんなところをひねられると反応に困るのですが。とはいえやはり一国の民の命を絶った一人で背負って戦い続けたのは見事というべきでしょう。ここまでやっておきながら2話前のように約束を反故にされ恩人を殺されたら、そりゃこうもなりますって…。

 釜茹でも始まりましたが、実質おでんがひとりで全て引き受けるような形になっていました。あれほどのことがあってもまだ一人で背負い込むのかと思いましたが、おでんとしては自分を信じてついて来てくれた家臣たちへの礼と、自分が死んでも遺志を受け継いで開国のために尽力してほしいと思ったのかもしれません。正直、今回彼は生きねばならないと言いましたが、これは自分の為というよりもロジャーとの旅で知ったワノ国の開国の必要を実現するためにひとりでも残ることを考えたような気がするんですよね。

 また今回はオロチの真意についても判明しました。統治者としてはどうなのよと思うこともこれまで多々ありましたが、そもそも国自体に興味なく滅んでもいいと考えれば納得の行動です。まあさすがに好き勝手楽しめるこの現状も手放したくないのもあるでしょうが、それもおそらくワノ国自体が滅んで別の国になっても問題なしという考えあってでしょうしなぁ。以前、康イエ様がオロチに黒炭を隠していたことに疑問を抱いていましたが、この時は本人内心でものすごく怒っていそうです。

 元よりこれでもかというほどの下種かつ油断しないという小物ながらも魅力ある悪役でしたが、ここに来てさらに悪役としての株を上げてきました。納得できないけど理解はできるという動機でしたね。それを聞いたときのおでんの反応も含めて印象的でした。あのおでんですら目を見開いて黙っちゃったもの。このままぶっ飛ばされるのもいいですが、現状似たような悲劇をたどっているモモの助は彼とは別の道を行き皆が認める将軍になってほしいものです。

 しかし動機を考えれば、そりゃカイドウと気も合いますわな。あいつも全てが滅べばいいとか考えているもの。まともに出る前はカイドウの威を借るだけかと思いましたが蓋を開ければしっかり同等の関係を築いていますし。むしろおでんやオロチが魅力的になるほど、前回小物っぽく見えたカイドウがさらに小物っぽくなります。今回もオロチの威すら借りてるんじゃねえかというような軽い態度でしたし。でもオロチと楽しそうにしている姿は高校のマブダチ感あって面白かったです。てかやっぱりこの頃のカイドウってまだかなり小さいから全盛期ではなさそうね。

 

 ところで今回、おでんの処刑時の反応やオロチへの迫害を見て思ったんですけど、ワノ国の民衆かなり酷いな!まあ歴史をたどれば処刑が見世物みたいになってたのはありましたし、現代でも通じそうな描写ですけど…。だからといってやっていることがひどいのは変わりありません。お前らはMARVEL市民か。

 しのぶがそれによって怒ってましたが、ああいうのを見れば彼女が裏切り者という可能性はさすがにないかなぁ。私自身、何話か前にしのぶが報告しなかったのが怪しいと思いましたが、あれも今回のための構成と考えればおかしくないですし。元よりローに涙ながらに主張した経緯がありましたからそこまで裏切り者としての怪しさがあったわけではありませんが。

 

 今回、ついに釜茹での刑が始まりましたがこれが969話でもあった後世に語り継がれる伝説の一時間の始まりでしょう。まだ4分しか経っていませんがすでにおでんは家臣たちのために命を振り絞っています。

 私の中で最も気になるのはオロチのおでんへの反応。オロチは現在ビビりまくって家臣たちからも陰で笑われていますが、この頃のオロチはそこまでおでんにビビっている印象が湧きません。この一時間でどれほどおでんがオロチにひいては読者に強烈な印象を見せつけるのかが楽しみです。意外とロジャーや白ひげとの経験からオロチに辛い思いをさせたことも気にしていそうです。

 まあでも彼はバカ殿でしたよ。昔なら間違いなく気にせずにカイドウと戦っていましたもの。しかし偉大な海賊と共に大冒険したせいで成長しちゃったんだな…。本当にこの現状では常に一人で背負ってきたバカ殿ですよ…(涙)

 カイドウなんかよりもおでんとオロチの二人が気になりつつまた次回!

第972話「煮えてなんぼのおでんに候」 最後までド派手な奴よ - ワンピース航海記録