969話の感想です。
表紙連載は「ゴッティVS海軍」です。思った以上に強いなこの海軍!時期が時期だから実力者はだいたい七武海に回しているイメージがありますが数で押し切ったのかな?
ロジャーと別れついに故郷のワノ国に戻ってきたおでん。家族や家臣との再会に喜ぶもワノ国が現在オロチの手によって恐ろしいことになっていることを知ります。さらに愛妻のトキや子供の命の危険を知り単身でオロチ城に乗り込むと…
指を結べば…
前回の続きからおでんが刀を構えてオロチに迫っていきます。その一撃は見事にオロチの体を斬りさいた…かと思いきやその斬撃は部屋を斬りさきオロチには当たらないどころか一定の範囲内には傷すらつきませんでした。なんとオロチの周りに見えない壁が出来ているようなのです。この能力は我々読者も見覚えが…。
これを作ったのはオロチの後ろに控えていた琵琶法師の黒炭せみ丸。なんとこの男、バリバリの実の能力者でオロチが斬りかかる前にバリアを展開していたのです。お前も能力者だったのかよぉ!
そこに例のマネマネのババアも登場。彼女は黒炭ひぐらし。こっちも黒炭家の関係者だったようです。
オロチはビビッて涙を流しながらも自分は殺せないことに絶対の自信を持ちます。彼の言う通り暴力だけで解決するなら他の大名が動いているはず。それを寄せ付けないのはこれまでの立ち回りと強力な力が後ろにあるからなのです。
最後の希望だったおでん
さてバリアに攻撃は通用しないのがわかるおでんですが、彼としてはスキヤキの遺言でオロチがおでんの代理で将軍をやっているだけだと考えます。少なくともオロチよりはマシな将軍をやると訴えますが…
「ムハハハいやぁ…ところが!!あの言葉に「将軍」の権力はない」
ここでオロチのネタ晴らし。これがスキヤキに化けたババアの仕業であったこと、さらにスキヤキの死に含みを持たせます。
さらにおでんが帰ってきたことに喜ぶ民衆の中で毒矢が撃たれて二人が吐血、失明という重傷を負います。屋内に逃げると今度は城の上空に巨大な龍が登場。この状況に強くなってきたおでんはどうしたか!
『数時間後――――光月おでんは将軍オロチの城の前で裸になりおどけていた』
その屈強な体を面前にさらしながら情けない陽気な表情で踊っていたではありませんか。
これには民衆の期待の心を折りそれは失望や怒りへと変わっていきます。この情けなさ、にらめっこの歌にまでされました。わかっている、わかっているけど…(涙)
すげえよあいつは!
その後もおでんは週に一度都でおどけてオロチからわずかな金を貰っていくという生活。家臣たちは本当のことを話してほしいと懇願しますが、おでんは特に気にしません。おかげで九里にもその噂が流れて九里の住民たちもおでんに失望していきます。
おどけて一年今からは24年前、オロチから海外の新聞を受け取ったおでんは海岸を全力疾走!さらには大声で泣いたり笑ったりと一人で大忙しです。それもそのはず。この新聞にはかつての仲間であったロジャーの死と大海賊時代の幕開けが記されていたのです。
「ロジャー!!すげェなお前は!!すげェ人生だ!!!」
その後も鈴後で百獣海賊団とゲッコー海賊団の戦争や刀神リューマの墓荒らし事件なんかもありましたが、九里のバカ殿おでんは相変わらず。彼に接する者で変わらなかったのは愛する家族や忠実な家臣たち。そして康イエやヒョウ五郎夫妻のような恩人でした。ヒョウ五郎夫妻とは一緒に茶を飲むほどの仲です。
戦場へ参らん
さておでんがおどけて5年後、ついにオロチが動きました。なんでもワノ国を本格的に武器工場の国にするつもりです。おでんに協力を命令しますが彼としてはオロチとしていた何かの約束に言及します。
しかしオロチ、これを何の話だとばっさり切り捨てます。さらにヒョウ五郎がカイドウに連れ去られそれを止めようとした子分16名死亡、おでんの恩人であった彼の妻も射殺されたというのです。
この5年間「何か」をたったひとりで背負い続けたおでんはついに大粒の涙をこぼし無念に泣き叫びます。そして押し殺していた感情はここでついに爆発!
「カイドウを討つぞ!!!」
いよいよ始まるのは歴史から大罪の汚名を着せられたおでんが起こすワノ国の大騒動。一人の器大きな男に拾われ侍として彼につく九人の男は夕日に照らされその忠義心から「赤鞘九人男」と呼ばれます。
所詮は過去の話。たとえ結果は知っていようともその劇幕を読者に見せてくれるでしょう。
おでんを見るのが辛くて…
ワノ国に帰還したおでんの衝撃的な展開が描かれた今回の話。
なんかもう…辛い。尾田先生が鬱展開を描くとガチで引くレベルで強烈になるのはわかるのですが、正直今までワンピース読んでいて1,2を誇るレベルで胸が苦しくなりました。尾田先生は天才なの?天災なの?
ロジャーや白ひげという伝説の海賊と共に冒険し成長した男の強さと尊厳をこれでもかというほど踏みにじってきましたね。ただおどけているだけなら意味わからんことして抵抗とも取れますが、わずかな金を渡すことで完全に屈服している構図が出来ています。読者からすればおでんの方が強いのはわかっているし彼が傍若無人ながらも器のでかい愛せる人物だとわかっているゆえに、実力もなく器の小さい小物であるオロチに頭を下げているのが心苦しいです。
これは町民の気持ちもわかるんですよね。町民から見れば九里の大名までになっておきながら勝手に国を捨てて放浪していた挙句、強くなって将軍になるために戻ってきたかと思えばあっさりオロチに屈服して醜態さらしているんですもの。もちろんおでんの内面を知れば信じる人は増えていたと思うのですが、そこまで知るには家族や家臣、昔馴染みでしか知る由もないしなぁ。
それとロジャーの新聞を見た時のおでんの反応もなんか辛く感じました。お前「は」という言い方が自分と比較しているようでね…。だからこそまだ慕ってくれる人たちには救われていたんだろうな。
しかしまさかオロチの攻撃を防いだのがバリバリの能力だったことには驚きました。たしかにあの爺さん、ババアの初登場時にもいましたけど何となくいるだけのモブだと思っていたので面食らいましたね。しかもババアと違ってどことなく強キャラ臭がする立ち振る舞いだな!
彼もババアも苗字が黒炭家でしたのでオロチの血縁者だったんですね。オロチの祖父は切腹したのでその兄弟とかでしょうか?それで国に入れなくなって出国、どこかでロックス海賊団あたりと関係したとかでしょうか。どっちにしろこいつらはおでん達にやられてほしいですが、年齢を考えると老衰で亡くなるの可能性もあるんだよなぁ。
それにしても味方だと頼もしかったマネマネの能力とバリバリの能力が敵に回るとここまで厄介なのはわかっていながらもきついですね。バリバリの能力とかあれ小学生の言ったもの勝ちバリアと同じ効果ですもの。これはインペルダウン必要ですわ。下手に悪魔の実の能力を管理下外に出せませんもの。
おでん無関係の場面だとモリアが登場していましたね。若い頃だったからかシュッとしています。今のでっぷりとした体格じゃないし堕落する前のバリバリの全盛期だったんだろうな。何気に戦争とまで言っているのでルフィよりは食い下がっていたのでしょうね。結果は仲間を全員失うことになりましたが、そんな中で墓荒らしして伝説の侍の死体を手に入れる辺りに執念を感じます。もしかしてここでおでんもモリアに味方していたら…難しいかな。
さて今回の話で疑問となっていくのはおでんがオロチと何の話をしていたのかです。ただあのタイミングで町民がひどい目にあったことを考えるとワノ国にいる全国民を人質に取られていたのかなと思います。それで自分に屈服したように見せろと言われていたのかもしれません。少なくともおでんがオロチに従っている間は町民たちは危険にあったような描写はなく、ヒョウ五郎たちが被害にあった時におでんも我慢が途切れたようですし。それかおでんが船という単語を出しているのでカイドウと共に海に出るとかでしょうか?いずれにせよ一人で重いものを背負っていたな…。
加えて、ここで急激に怪しく感じたのはしのぶ。おでんとオロチの対話を彼女は見ているはずなのに錦えもん達が知らなかったのは腑に落ちません。もしかして彼女が現代での裏切り者なのだろうか?
散々書きましたがやはり今回はおでんが全体的に辛いです。最初はただのドン引きキャラでしたが、大名になり白ひげやロジャーと冒険して成長していった彼は納得の魅力あるキャラになったので、そんな彼がこれほどひどい仕打ちかつ追い詰められ方をされるのは胸が締め付けられるおもいです。オロチも本当にいいキャラしてますわ。ぜひぶっ飛ばされてカタルシスを味わわせてほしいです。
最後のおでんと赤鞘九人男の一コマは最高にかっこよかったです。たとえこれが後に敗北することがわかっていても。だからこそ今度はルフィ達が彼らの代わりにカイドウを討ってほしいのです。この一味、ジンベエが来ればおでん達同様に10人ですから彼らの再来をこっちでも見せてほしい!
来週も尾田先生が心をえぐってくるんじゃないかと思いつつまた次回!