950話の感想です。
表紙連載のシリーズ名はギャングベッジのオーマイファミリーで、今回は「あたし、双子の妹ローラに会いたい」です。無事にマムから逃げ切った彼らの次の目標はシフォンの妹であるローラを探す旅ですか。2年後の表紙でウォーターセブンに行った様子はありましたが、今はどこにいることやら。
また今週のジャンプの表紙は先週号の対になるような形でロー、サボ、ハンコック、ルッチが並びます。これは今回の映画組のようですね。うーん、スモーカーとバギーは外されたか。バギーはわかるが、スモーカーがねぇ…。
第949話「ミイラ」 折れない心が人を立ち上がらせる - ワンピース航海記録
ダイフゴーとババヌキの策略によって兎丼の囚人たちがルフィたちに敵対する形に。しかしルフィによる命がけの説得で再び希望を取り戻した囚人たちの力も借りて見事に兎丼を占拠しました。さて次なる一手は…
超新星の決意
冒頭、空中には磁力に吸い寄せられるように金属が集まっていきます。回想ではキッドがルフィに再びカイドウと戦うのかを訊き、逆にルフィが彼を誘っていました。
しかしキッドはこれを断ります。同盟を組むもホーキンスとアプーはカイドウの軍門に下り、自身の仲間はそのカイドウ達の手によって安否すらも不明。極め付きは相棒であるキラーも狂わされた彼ですが、その闘志はいまだに衰えることなし。
集めた金属でない片腕を補強すると、巨大な鉄の扉を強引に破壊します。その眼は死んでいるどころかいまだにギラギラとした闘争心が!
「行こうぜキラー 仲間達を取り戻しに!!!」
(おれ達はおれ達の道を行く!!!)
たとえどん底に落ちようとも、なけなしのプライドと精いっぱいの意地を張りキッドはキラーと共に仲間を探しに向かいます。
再びあの頃のワノ国を
一方、兎丼ではちょっとした騒ぎが起こっています。なんでも囚人たちがルフィが海賊であることに不満を持っているようです。カイドウと同じ海賊であることが納得いかないだとか。裏切りの可能性まで指摘する者もいます。
元気にはなりましたが、いまいちまとまらない状況ですね。赤鞘九人男の一部が過去から来たというのにも疑いを抱くものがいます。ただ雷ぞうが老け顔なのは同意する!
話題のルフィはボロボロでダウン中。体から煙吹いて意気消沈で、今はチョッパーが交代を探している最中です。さすがに毒と疫病は別物か。
ルフィのバカさ加減に呆れながらもその器のでかさに感服するモモの助。そんな彼にルフィはモモの助はバカなうえに、憶病、弱い、ビビりと悪口のフルコースです。スケベも付けたそう。
しかしルフィとて本質を分かっていない男ではありません。囚人たちが求めているのが彼だとわかっているのです。ということで、岩を利用してモモの助を人前に出しました。なかなか強引にやりますね。
そしてモモの助が囚人たちに姿を見せた瞬間…
「よくぞご無事で!!!」
なんと先ほどまでまとまりのなかった囚人たちが涙を流しながら頭を下げたではありませんか。その瞬間、モモの助はワノ国を築き支えてきた「光月家」と父おでんの偉大さに胸打たれます。
ヒョウ五郎もここで光月家という戦いの後にある希望の存在の重要性に気づきます。
モモの助が真相を話す中、河松は向かう場所があると一時離脱。いったいどこへ向かうのでしょうか?
全てを捨てた仲間達
その頃、ワノ国の九里ではアシュラ童子が錦えもんたちをある場所に連れて行きました。そこはどこかの山の頂上のようですが、あたり一帯にこれでもかというほど膨大な数の墓が建てられているのです。
アシュラ曰くあの信じがたい伝説を待つのは10年が限界だったとのこと。かつてアシュラのもとにはすぐにでもカイドウ達を打ち倒そうと考える者が多くいましたが、必ずモモの助や錦えもんたちが戻るから待つように口を酸っぱくして言いました。
しかし反逆者相手に手を緩めるオロチとカイドウではありません。軍に攻められ、生きるために必要な井戸や畑も破壊され、どんどん追い詰められていきます。
ついに我慢の限界を迎えた彼らはついに戦いを挑むことを決意します。光月家の名を立てる旗頭もいない一部の郡で向かっても勝てる見込みはありません。しかし彼らは侍として刀を持ち戦いの中で死ぬことを望むのです。
そんな彼らを後押ししたのはある言葉。かつて度胸試しに使っていた掛け声でした。自分を大切にするからこそ人間は憶病になるという考えのもとから、あらゆるものを捨てて頭を空にすることを意味するもの。それは名も知も捨てることであり…
「捨名----ッ知(スナッチ)!!!」
その言葉を上げて、侍たちは海に出ます。アシュラの涙の訴えを聞かずに…
目の前に広がるおびただしい数の墓は彼らのもの。勝ち目のない戦いで多くの同胞を失ったアシュラとしては20年もの歳月は長すぎたのです。この年月の意味を問うアシュラに対し、錦えもんとイヌアラシは意味があると答えるだけです。
するとアシュラは自身の部下に討ち入りの日とその大義を説明。部下たちもやる気満々です。
「お前らあの日のままだろう錦えもん 昔は年が同じだったが…おいどん達ァ増して20年分強ェど!!」
ついに参加を決意したアシュラ童子とその山賊団!20年分の実力に期待が膨らみます。
仇と捕らわれ
お次は花の都のはずれの森にある閻魔堂という古びた小さな寺。ゾロが追手の御庭番衆の忍びを切り倒していました。ようやく追ってきた忍者を倒しきったところで、寺に隠れていた日和が顔を出します。彼女としてはおトコも心配ですが、ゾロからすれば信頼できる味方に預けたので大丈夫だと考えています。
それよりゾロとしては牛鬼丸に奪われた刀を取り返しておくことが重要。決戦までに何とか取り返しておきたいところです。そして万全の状態で、トノ康の仇を討ちたいと考えています。そういえば一味で最初に彼と出会ったのあなたでしたね。
「オロチは…私の手で殺したいくらいです…!!」
そんな彼の言葉に対して、涙を浮かべて口を開く日和。両親を殺され、ワノ国を奪われた彼女の心境はいかほどか。
そして最後の場面は花の都。サンジを取り逃がした様子のドレークですが、彼とホーキンスはこれから何かをやる様子。それは凶悪な表情を浮かべたホーキンスの視線の先に。
「このワノ国で一体何を企んでるのか全部喋ってもらおう!!」
なんと視線の先には傷だらけで捕縛されているローの姿が!今度はお前が捕まったんかいと思いつつまた次回!
勝利へかける各々の夢
多くの戦う者たちの覚悟が見えた今回の話。
まずは冒頭ではキッドが再始動。能力で多くの金属を集め扉を破壊し、半分壊れたようなキラーと共に仲間を取り戻しに動きます。
お前あれだけやられて、ルフィにも助けられておきながらよくそれだけデカい態度をとれるなとも思われそうですが、むしろあれほどひどい状況でも負けないハングリー精神は大したものです。あの態度も誰にも屈しない強さを表していますし、ルフィとは別ベクトルでカッコいいと思います。
ところで今回すごく自然にキラーがついてきましたけど、これは洗脳とかされていたわけじゃないのですかね。そうなるとオロチに従っていたのは、仲間を人質に取られていたとかが濃厚かな?
お次はモモの助と囚人たち。モモの助の登場だけで囚人たちは再び戦いの意志と協力への疑いを払拭したように思いました。考えてみれば、兎丼にいる囚人たちはオロチやカイドウに立ち向かった光月家に少なからず忠誠を誓う者たち。赤鞘九人男やヒョウ五郎では説得できなくとも、おでんの後継者の可能性があるモモの助に希望を持つのは不思議なことではないでしょう。またワノ国はカイドウが支配する前の素晴らしい国になるという夢を抱けるような希望を。
しかしここまでくると、おでんがなおさらどんな人物か気になります。このような描写見ると、よほど魅力的な人物でもなければ腑に落ちないと思うのですよ。予想を上回り、期待を裏切らないようなキャラであることを祈るばかりですな。
そしてメインともいえるのはアシュラ童子と散っていった彼らの同胞の話。アシュラが再び荒れたのはかつての同胞を無駄死にさせてしまったからでしょう。もちろん諸悪の根源はオロチとカイドウなのですが、アシュラとしては20年という長い歳月を待たせた錦えもんたちにも少なからず恨みを抱くのは当然でしょう。
しかしようやく感情の整理がついたのか、おでんへの忠誠心からか決戦に参加することを決意。年こそ取りましたが20年研鑽を積んできたその実力は期待できます。すでにジャック相手にも食い下がるほどの実力は見せていますしね。
ただ個人的にはモモの助がアシュラを説得する場面の方が私としては嬉しかったですね。アシュラ本人がモモの助とおでんのことについて話していたので尚更です。まあ今の時点でおでんを超えるようなモモの助というのも違和感あると思うので、決戦を通じて一皮むけるような展開が無難なのかな。
そういえばモモの助のスナッチ発言についても触れられていました。
第934話「花のヒョウ五郎」 任侠を思い出す男 - ワンピース航海記録
この934話でも触れられましたが、ゾロが教えた言葉で心を奮い立たせるときに使うものでした。いやたしかに気合入れるときに使うけど、描写が描写のせいかどこか悲しい意味を持つように見えますわ。
しかしこうなると私の中では、おそらくゾロにこの言葉を教えたであろう彼の師匠であるコウシロウがやはりワノ国にいたと思われます。そのうえで私はやっぱり彼が赤鞘九人男最後のひとり傳ジローなのではとも思いましたね。この言葉は悪ガキどもの度胸試しに使う言葉のようですが、赤鞘九人男も元々は不良みたいな者ばかりだったみたいですしそれを知っているとなると可能性はあるのではないでしょうか。
ビブルカードでは彼が東の海出身となっていますが、みなともさんのこともあるから東の海で生まれてなんやかんやでワノ国に渡って、故郷に戻ってきたという感じではないでしょうか。
そんなゾロもトノ康の仇を討ちたいと意気込んでいます。正直、劇中で彼とトノ康の描写が少なすぎるので反応に困りますが、武士道を重んじる彼なので許せないものがあったのでしょう。アニメとかでここら辺は丁寧にやってほしいな。
それに勝るとも劣らない恨みを持つのは日和。彼女についてはなぁ…想像を絶するほどのことがあったに違いないだろうしね。ただその想いを胸にできることをやってほしいところです。
ラストはローが捕縛されていました。キッドもルフィも捕まっていたしこれでワノ国では超新星メイン格がみんな捕まったことになるな!(おいおい) しかしローさん、あなたドレスローザの時も捕まっていたじゃないの…。
しかし彼の表情を見る限りは作戦や麦わらの一味について口は割らないと思います。わりと彼は恩義を大切にするほうですし、ルフィにはドフラミンゴの件で借りもあるでしょうしね。だいたいしのぶに仲間云々で啖呵きったのに自分が裏切っていたらカッコ悪いじゃないですか。
ということで、多くの者たちの覚悟が感じられましたが個人的にはやっぱりキッドがよかったですね。
私はキッドがルフィたちを除いて超新星の中では一番好きで、今回のような不屈の精神はグッときました。わりと荒々しいながらも芯の通った諦めないキャラが好きなんですよね。今回のキッドやベラミーのようなタイプ。そもそも海賊王を目指すような男が一度や二度どん底に落ちた程度で諦めるわけがないって話ですよ。主人公がそうなんですから!
ここまでくると彼は幹部戦ではなく、ルフィと共にカイドウ相手に戦ってほしいと思います。その溜め込んだ怒りをぶつけてくれ!
ルフィたちとは別の方で楽しみが増えたことに喜びつつまた次回!