ワンピース航海記録

こちらはワンピースを中心に物語の感想などを扱っているブログです。

第949話「ミイラ」 折れない心が人を立ち上がらせる

 949話の感想です。

 7月22日はワンピース連載の日ということで、今週は巻頭カラー。一味がプールで遊んでいます。このようなのびのびした一枚絵は好きですね。またゴリラも映っていますが、カラー絵では時々描かれたりしているのでこれはゴリラも一味といってもいいのではないか?(よくない)

 また今週はジャンプの表紙もワンピース。ワノ国の衣装でルフィ、ゾロ、サンジ、ナミ、ロビンが立ち並びます。やっぱりこの5人は絵になるよな。東の海からいたウソップは…ドンマイ!

第948話「“河童の河松”登場」河童可愛いー! - ワンピース航海記録

 

 クイーン自作の疫病をばらまく銃弾が使われる中、ついに解放された赤鞘九人男がひとり河童の河松。解放がてら見事な剣術を駆使し、さらに再び反撃の意思を見せるためにルフィ、ヒョウ五郎、お菊、河松、雷ぞう、チョッパーが立ち並びます。

兎丼大乱闘

 いよいよ開戦となったこの勝負。百獣海賊団は疫災弾で狙いますが、ルフィたちには当たりません。しかし感染力が化け物なこの疫災弾。ダイフゴーは片っ端から他の囚人を狙っていきます。

 飯を食えていないやつを狙うのが許せないルフィ、医者としてウイルスを武器として使うことを許せないチョッパーが道を開くために“ゴムゴムのヘビースタンプ”で周囲の敵を薙ぎ払います。珍しい組み合わせの合体技ですね。

 

 一方、ワノ国のメンバーも負けてはいません。小柄な体格ながらも相手を斬っていくヒョウ五郎、鬼のごとく戦うお菊、お得意の河童流剣術で打ち倒す河松、見事な狙いで手裏剣を使う雷ぞうと雑兵相手では歯が立たない実力です。

 またここで雷ぞうはキッドに自分の持ってきた錠のカギを放り投げます。キッドもキラーも特に大きな反応を見せることなく、そのまま蚊帳の外で戦いを見守っています。

 

 相も変わらず、疫災弾が他の囚人たちに使われる状況。撃ち込まれた箇所には髑髏のマークが浮かび上がります。ダイフゴーの話ではそこから高熱が広がり、体中を焼けるような痛みと出血が襲います。最終的に噴出した血から体の水分が失われ、皮膚がすっかり干からびた状態になります。これぞ疫災弾に込められた病気「ミイラ」

 これにより触れるだけで人を倒せるような状態となった囚人にルフィたちを襲う命令を下します。さらに脅しをかけて疫病を持っていない囚人たちにも襲わせます。つまるところ…

「結局!!兎丼の全員敵じゃねェか!!!」

約束と目的

 すっかり周囲を囲まれたルフィたち。そんな中で疫病に苦しむ囚人が口を開きます。「出て行っでぐれ…!!おばえ達が来なぎゃ…こんな事には…!!」

 それはルフィたちを恨むような苦しみの言葉でした。彼らとてルフィたちの実力は目の当たりにしています。それに伝説の赤鞘九人男の力も十分に承知しているはずです。

 しかしそれでもカイドウ並びに彼が率いる百獣海賊団には勝てないと思っているのです。その圧倒的な力は負けて囚人となっている彼らもよく理解しており、現にその大幹部であるクイーンの作った武器ひとつで苦しんでいるのですから。

 

 せめてルフィたちが来なければいつもの“日常”が続いたと言いますが、これに怒ったのはルフィ。なんと疫病に感染した囚人の顔を掴んだではありませんか!さらにこれ以上は進ませないとばかりに腕を伸ばして囚人たちを抑え込みます。

「何が絶望的な力だ…こんなもん全然効かねェ!!!」

 言葉とは裏腹に体中に広がる痣に苦しみながらもルフィは吠えます。彼が知る侍は赤鞘九人男のような強く自分の意志で物事を決定する者たち。それなのに自分の目の前の囚人たちは自分で選ぶこともなくただ敵の言いなりとなって苦しんでいるだけなのです。支配されたこの状況は日常と呼ぶにはあまりにも酷いものといえるでしょう。

「目ェ覚ませ!!!お前らただの奴隷だ!!!」

 ルフィの心からの言葉に囚人たちは圧倒されます。

 

 たとえ自分がよそ者でもそれが国を救ってはならない理由にはなりません。それにルフィはお玉と約束したのです。この国を自分たちが出るころには「腹いっぱいメシの食える国」にすることを。

 自分が食す筈であった飯をお礼としてごちそうしてくれた彼女との約束のためにも!モモの助や赤鞘九人男が涙したおでんが殺され止まってしまったあの日を再び動かすためにも!

「おれ達はカイドウに勝ちに来たんだ!!!それを味方に邪魔される筋合いはねェ!!!」

 少なくともここにいる囚人たちは一度はカイドウ達に戦いを挑んだ者たち。つまりルフィたちと志は同じはずなのです。そんな味方に自分のことを邪魔される道理はなく、ここでカイドウにつくか自分につくかを決めるように言います。

 彼の言葉には囚人たちは希望を見出し、再びチャンスをもらえることに心が動きました。

任せる

 せっかく心を折った百獣海賊団としてはこの展開は望ましくないもの。しかし隙だらけの今なら、さらにこの状況を逆転させられるとババヌキは考えます。そのための武器は“疫災散弾(エキサイトショット)”。なんと1発で疫災弾200発分を飛ばすというどこで使うんだそんなものと思うような弾です。ババヌキは胸の象の鼻にセットして狙いをつけますが…

 象がくしゃみをする直前に未来を見たルフィが象の鼻を結びその穴を塞ぎました。もちろんこれではくしゃみで砲弾は飛びません。それどころか象もくしゃみを止められず、鼻の中で疫災散弾が爆発!200発分の病原体をひとりで食らったババヌキはダウンします。

 

 敵の主力をひとり倒したルフィ。しかしさすがに限界が来た彼にはもはや余力が残されていません。そこで彼は味方を信じて任せることにしたのです。

「あと頼む」

 ダイフゴーを指さすルフィに呼応するように屈強な囚人たちが彼に迫ります。反逆したら重い罪はありますが、そんなものは再び心の立ち直った彼らにもう知ったことではありません。

 見事、決戦8日前に敵に知られることなく兎丼を制圧したところで今回は終了です。

これぞ主人公の器

 とにかくルフィがカッコいい今回の話。

 カイドウの狙い通りにすっかり心をへし折られて戦意を失った囚人たちにルフィが命がけの説得する展開でしたが、このルフィがまさに五番目の海の皇帝ともいうべき勢いだったと思います。

 囚人たちはカイドウ達の強さを知っているでしょう。それによって諦める気持ちになるのもわかります。しかし自分たちとしては現状を打開したいはずなのにもかかわらず支配を受け入れているのには、自由を愛するルフィとしてはとても納得できるものではなかったのでしょう。

 またワノ国の現状の苦しみはお玉の件からよく知っていますし、事の発端であるおでんの悲劇も錦えもんやモモの助から聞いています。よそ者でこそありますが、彼女たちと約束したルフィにとってカイドウを打ち倒したい気持ちは囚人たちと遜色ないくらいとてつもないもの。心同じくする彼らを味方とすぐに言えるのは、彼らしい信じる気持ちもあってのことでしょうね。ルフィの人心掌握術は無意識にやっているのと、本人のひたむきな性格があってこそだな!

 個人的にはしっかりと彼らに決めさせるような行動をとっていたのがいいですね。やはり自分で決定して動いてこそ説得力が生まれるわけですから。でも私だったらあんな状況でも百獣海賊団に屈服してそうだな。(ダメな奴)

 ルフィは現状かなり大変ですが、チョッパーがいますしもしものための解毒剤とかもありそうだから大丈夫でしょう。

 

 むしろ気になったのは決戦時に誰がクイーンを相手にするかですね。ダイフゴーの言い方を考えれば、彼が使う武器や疫災はこれ以外にもありそうですしかなり厄介な相手になりそうです。

 そうなると医者であるローあたりかと思いますが、あいつは今はホーキンスと因縁出来ていますし。個人的にはキッドあたりに期待しています。実際、彼のガッツならば今回のルフィみたいに疫災を受けても、意地で価値をもぎ取りそうなイメージです。でもルフィと一緒にカイドウと戦ってほしいとも思ってしまう。

 

カヴァーコミックプロジェクト

 さて連載22周年となったワンピースですが、今週のジャンプでは「Dr.STONE」の作者であるBoichi先生が51話と52話をつなげたような形でカバーしました。扉絵も書かれています。

第51話「ロロノア・ゾロ海に散る」 剣士は背中を傷つけない! - ワンピース航海記録

第52話「誓い」 ロロノア・ゾロは決めた! - ワンピース航海記録

 

 率直に言わせてもらうと、雰囲気があってなさすぎました。Boichi先生の絵は本当にきれいだと思うのですが、デフォルメされたキャラに違和感を持ち、構図もごちゃごちゃして見にくいです。これならORIGINのような先生特有の絵の方がよかったと思いますね。ただミホークだけは個人的にしっくりきましたわ。

 この企画はまだ続くようですが、正直ストーリーに代わり映えがなさすぎるので反応に困ります。別の漫画家が書いたキャラを見たいならイラストだけでも十分ですし、演出変えてもストーリーに変化がないからどうしても微妙だと思うんですよね。これだったら前に食戟のソーマの作者たちがやっていたオリジナルストーリーとかの方がよかったと思うの。

 

 22周年という節目にカッコいいルフィと何とも言えない企画を味わいつつまた次回!

第950話「兵(つわもの)どもが夢」 目指すは打倒カイドウ&オロチ - ワンピース航海記録